芸大生(女性)
彼女は小学4年生の夏休み、自分に課題を課したのだという。
「この夏休み中に、ミッキーマウスの描き方をマスターする。」
見本にしたのは、いとこからもらったディズニーランドみやげのハート形のクッションだったそうで、これを夏休み中描き続けたらしい。くる日もくる日も、彼女はミッキーマウスを書き続けた。
彼女はひとりっこである。ひとりっこのあそびにはこういうものが多いらしい。
兄弟がいないと、遊び相手がいないから、自然と自分一人で勝負をすることになるそうだ。一つのことを思い込んで、とことん演じる。そのせいか、ひとりっこは一見わがままに見えるけれど、なかなか我慢強い面がある。
この一夏の出来事により、彼女はミッキーマウスを描けるようになった。
しかしながら、この一方向からしか、描くことができない。あのときの、ハート形のクッションのミッキーしか、描くことができないのだ。
一夏の思い出は、永遠に続いていく。