2004年02月27日

遊山?

物見についてはしばし置いといて、遊山について考えてみることにしましょう。

『広辞苑』によれば、
 ①山野に遊びに出ること。
 ②禅家で、すでに修行を終えた後、諸方に遊歴すること。
 ③遊びに出掛けること。気晴らしに外出すること。行楽。
 ④慰み。気晴らし。
『小学館 日本国語大辞典』によれば、
 ①仏語。禅宗で、一点のくもりもないはればれとした心境になって、山水の美しい景色を楽しみ、悠々 自適に過ごすこと。また、他山に修行遍歴の旅をすること。
 ②山野に遊びに出かけること。花見や紅葉狩、茸狩などに出掛けること。
 ③遊びに出かけること。気晴らしに外出すること。行楽。
 ④気ばらし。なぐさみ。娯楽。
 ⑤巡査をいう、盗人仲間の隠語。

③、④の意味はほぼどちらも同じであり、今現在使用されているような意味合いがこれかと思います。しかし、①、②は全体として主張するところは同じようなことだと思われるのですが、二つの辞書で微妙に違いがあります。
『角川 古語大辞典』によれば、
 ①禅宗で、他山へ修行遍歴の旅に出ること。また、修行の階梯を終えた心境で、山野の美に参入する こと。
 ②1より転じて、一般に山野に出て遊ぶこと。また、別荘や近郊・名所・保養地などへ出かけて行楽す ることをいう。行楽。
 ③気晴らし。娯楽。
とあります。
ちなみに、『日葡辞書』には、Yusan(遊山)として、「野原や林や山などでの遊び」とあり、Yusanni mairu(遊山に参る)は、「上のような所へ気晴らしに行く。」とありました。

「新解さん」による「遊山=ピクニック」説は、この「野原や林や山などでの遊び」という意味から、解釈したものと思われます。それは具体的には、花見や紅葉狩、茸狩であったりするのでしょう。

近世・江戸時代に入り、都市の発展、消費生活の拡大に伴って、各地で遊山が行われるようになります。なかでも、「花見遊山」ともいうべき行事、桜を始め、梅、桃、躑躅などの花の名所とされる場所で宴を開いたりすることが、民衆の間で流行るようになります。中には、平安朝の貴族たちの花の宴を真似たものか、詩歌に興じる文人層もいたようです。
はるか古代において、日本において「花」と言えば、ある時期までそれは桜ではなく梅のことを指していました。梅が日本を代表する花だったのです。今、小石川植物園には梅の花が咲き誇っています。私なんかは会期中には、桜も咲いてくれないかなあと淡い期待を抱いていたりもするのですが。
どうでしょう。たまには、お仕事の合間に、小石川に「遊山に参」ってみてはいかがでしょうか。

Posted by nagai at 2004年02月27日 06:42
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