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ウミトサカ類標本データベース

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東京大学総合研究博物館動物部門所蔵ウミトサカ類標本

今原幸光

(財) 黒潮生物研究財団 黒潮生物研究所 和歌山研究室

タイプ標本

 種まで同定済みの標本の中には、紛れもなく木下熊雄と内海冨士夫のタイプ標本が含まれていた。今回発見されたタイプ標本は、下記の通りである。

Carotalcyon sagamianum Utinomi, 1952 (UMUTZ-Cnid-A -81, Holotype)

Chromonephthea hirotai (Utinomi, 1951) (UMUTZ-Cnid-A -104, Holotype)

Telesto tubulosa Kinoshita, 1909 (UMUTZ-Cnid-A -103, Holotype)

 なお、飯島 (1918) が、動物学提要の中で「海鶏頭一種 Alcyonium sp. 相模海産」として図示した種は、上記の Carotalcyon sagamianum Utinomi と同一種であると考えられる。本種は、多数の枝をつけた樹木状を呈する種であるが、群体の退縮時には、枝分かれした群体の上部全体が、トランクと呼ばれる柄部中に完全に収まってしまうという、著しい伸縮性を示す種である。タイプ標本は、内海が新種記載で図示したように、群体の大部分が収縮した状態であるが、飯島の図は群体が比較的伸張した状態であって、そのような状態の標本は今回の調査では発見できなかった。また、タイプ標本の存在が期待されていながら、今回の調査では発見できなかった標本は下記の2種である。これらのタイプ標本は紛失したと考えられ、状況によってはネオタイプの指定が必要になるかも知れない。

Paratelesto rosea (Kinoshita), (Holotype), one colony, Miyake Island, south of Izu Province, 10 August 1893, collected by S. Hirota.

Telesto sagamina Kinoshita, (Syntypes), two fragments probably belonging to one colony, Doketsuba, Sagami Bay, 60 fathoms (i.e., ca. 110 m), October, 1908, collected by the author himself.

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