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新規収蔵品展示

平林武収集鉱山資料展

田賀井 篤平


平林武先生の風景スケッチ
平林武先生の坑内露頭スケッチ(生野鉱山)
平林武先生は1872年神戸市に生まれ、農商務省技師などを経て1918年に東京大学工科大学校の教授に就任されました。先生は農商務省技師の時代から、日本全国の鉱山の調査に当たられました。特に黒鉱鉱床を精力的に調査してその総括を行い1907年と1911年に「黒鉱鉱床調査報文」を出版されたました。

 この度、平林武先生のご遺族から先生が収集された資料一式が東京大学総合研究博物館に寄贈されました。資料は、フィールドノート50冊、先生が調査した鉱山やダムなどの調査資料・地質図など約一万点、その他講義資料、執筆原稿、別刷り、古写真などからなります。いずれも、明治末から昭和初期にかけて、平林先生が日本の数多くの鉱山やダム工事現場を調査して収集した極めて貴重な資料群です。

 本展示は、平林先生の収集された試料の中からその一部を展示します。フィールドノートを見ると、先生は休むことなく日本全国を精力的に調査しています。明治末期から昭和初期にかけて、日本が資源の確保に全力を挙げていた状況を最も典型的に表す資料になっています。各々の鉱山資料は、坑内の詳細な地質図、坑道図、埋蔵量・採掘量などの統計など情報の宝庫です。

先生の資料に記述されている殆ど全ての鉱山は現在閉山され、鉱業所に蓄積されていた資料も殆どが散逸してしまったと考えられます。その点から見ても、ある時期に日本中の鉱山の情報を記録した平林鉱山資料は、非常に貴重な学術標本であり、今後も活用される続けることと思います。

 現在、寄贈資料のカタログ化が終了しました。しかしながら、フィールドノートに残されている先生の描かれたスケッチや、各鉱山の地質図・坑道図などの膨大な画像は未入力です。今後は画像入力を継続的に行いたいと考えています。資料のカタログは総合研究博物館の資料報告として出版を予定しています。

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(本館教授/バイオ鉱物学)

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Ouroboros 第23号
東京大学総合研究博物館ニュース
発行日:平成16年1月15日
編集人:高槻成紀/発行人:高橋 進/発行所:東京大学総合研究博物館