(入館は16:30まで)土日祝日休館。ただし秋季展示期間中は月曜日が休館ですのでご注意ください。
平成11年度におこなった同じ「骨」をテーマとして、今回は動物と人に焦点をあて、骨格の機能、骨を通してみた哺乳類の生活の多様性、人類への進化の足跡などを学ぶ機会としました。骨に身近に迫れる展示を試みました。
博物館には動物、植物、人類、岩石、鉱物といった自然界のさまざまな標本だけでなく、土器、石器、彫刻、絵画、写真資料など人間による生活道具や芸術品にいたるさまざまな資料が収蔵されています。これら収蔵品は整理され、比較検討したり分析されたりしますが、それは博物館に「入った後」の作業で、実は「入る前」、つまり収集の段階にもさまざまな過程があります。そこで今回の公開講座では、普段あまり注目されない、この収集を含むフィールドワークにおける苦労話や愉しみについて6人の先生からお話をうかがいます。
「フィールドワークの愉しみ」日程・講師など(時間はすべて15:00〜18:00です) 担当:高槻成紀(東京大学総合研究博物館) |
国内の博物館及び博物館相当施設で働く専門職員を主な対象として学芸員専修コースを開催します。本コースでは、大学等の高等研究機関で生まれる新しい研究の成果を広く紹介し、自然史・文化史の枠を超えた、文字通り博物学的な「博物館学」を、博物館資料の収集や管理、資料活用や展示設計に関わる「実践的な知」と併せて習得してもらう専門的リカレント教育の場として企図されています。
「学芸員専修コース」日程 担当:田賀井篤平(東京大学総合研究博物館教授) |
博物館がどれほど多彩な性格と形態を持とうとも、博「物」館という名称が示すとおり、活動の根底にはモノがあります。モノには自然物もあれば人工物もあり、また、自然物には生物もあれば無生物もあります。
すなわち、博物館の活動は、これらのモノからどれだけ多様な情報を引き出すことができるかに係っています。ところが、現状は、しばしば既成の情報の収集と発信にとどまりがちです。
さらに、自然史系、歴史系、民俗系、美術系という、ほとんど自明なものと化した博物館の性格付けは、情報の流通をそれぞれの領域内に閉じこめがちです。
そこで起こっていることは、モノに対する評価を各領域内に固定化させるという事態です。
本館は、規模は決して大きくはありませんが、鉱物、植物、考古など17部門を擁しています。収集されたモノを各部門のみの資料、あるいは標本として固定的にとらえず、無限の情報をたたえた資源と考え、それらへのアプローチのさまざまな可能性を探っています。越境は、まず学芸員の頭の中に始まるべきです。
一昨年の学芸員専修コースより、「自然の多様性・文化の多義性」というシリーズを開始し、様々な視点でモノを捉えることを目指しております。本年度は「石」を取り上げます。天から降下し大地をかたち造った石は、やがて道具を生み文化に発展しました。人類の未来も石抜きには語れません。
Ouroboros 第12号
東京大学総合研究博物館ニュース
発行日:平成12年10月1日
編者:高槻成紀/発行者:川口昭彦/デザイン:坂村健