第1章 混沌の時代—開成所と物産会




 幕末から明治初年にかけて学術を取り巻く環境は混沌としている。知識の体系も、教育の体制も、すべてそうである。オランダ渡りの知識を吸収した「民」が薬品会や本草会を物産学へと繋げる一方、西洋の情報や技術の習得の必要を認めた「官」は教育研究機関の設立を企てる。実学思想が育ち、天産品の目録を編む博物学と人造品の生産を促す物産学が生まれる。両者の結託を促したのは学術と行政を結ぶ学術官僚であった。

 その成果は国内外の博覧会で公にされた。



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