大沼克彦コレクション目録の記載項目

三國博子

本書に所収した資料目録(Material List)の記載項目について以下、説明する。


(1) 登録番号(Registration No.)

登録番号はKOに続いて二桁の数字を付したものを統一記号とした(KO01、KO11、KO17、KO18、KO19、KO22、KO23)。KOは大沼克彦博士のイニシャルを、二桁の数字は登録手続きを行った西暦年の下二桁を示す。以下、通し番号を付し、標本が一件につき複数ある場合は枝番号を与えた。また、同一の原石から製作された一連の実験資料については、表中では二重線で囲み、これを示した。本格的な寄贈は2017年から始まったが、既に総合研究博物館に収められていた標本(KO01、KO11)も今回、あわせて登録した。


(2) 品名(Description)

整理者が内容を判断して命名した。


(3) 計測値:長(Length)・幅(Width)

縦と横それぞれの長さを1mm単位で表記。1件につき複数あるものは、最も大きい資料の計測値を記した。ただし1cm未満のものを含む小形剥片の一括資料は計測をせず「-」の記号を記載している。


(4) 素材(Raw Material)

おもな記載は石材の種類となる。石材同定は大沼克彦博士による実験ノート(KO17.123、KO17.124)を参照し、この記録がないものについては鈴木美保学術支援職員(総合研究博物館)にご教示を頂いた。また、ハンマー(KO17.41、KO17.112、KO17.113)および石器製作道具(KO19.4、KO19.5)の石材同定は清田馨技術補佐員(総合研究博物館)にご教示を頂いた。なお、考古学での呼称に倣い安山岩質の火山岩は「安山岩」とした。


(5) 実験番号(Ohnuma’s Serial No.)

大沼克彦博士が当該資料を製作する際に付した番号。製作された資料と実験番号の照合は、実験ノート(KO17.123、KO17.124)の記録を参照した。実験番号のないものは「-」の記号を記載している。


(6) 点数(Number of Items)

個々の登録番号でまとめられている資料の点数を記した。


(7) 製作日(Experiment Date)

大沼克彦博士が復元製作を行った日。実験ノート(KO17.123、KO17.124)の記録や当該資料が扱われた論文、石器に付帯していたメモ等を参照した。


(8) 備考(Notes)

当該資料に付されていた注記やメモなどの内容を「」内に記した。また、実験ノートに記録がある資料に関しては、石材の採集場所や石器の種類を中心にこれを記し、判読できなかった文字は□で表した。


(9) 出版歴(Publications)

当該資料が扱われた論文、または掲載されたことが確認できた主な刊行物を記した。


(10) 図版番号(Plate No.)

図版に掲載した標本についてPlate番号を記した。なお、大沼克彦博士による復元製作風景の写真はご本人からの提供画像のほか、遠軽町教育委員会『アンジ君の大冒険! 石器づくりにチャレンジ 石器の世界へタイムトラベル』(株式会社エイチ・ビー・シー・フレックス、2011年)のDVDの画像や、刊行物に掲載された図版を引用した。また、標本写真のうちPlates 3–8、16–52は野久保雅嗣氏の撮影によるものである(箱に入った剥片の集合写真:Plates 19: 2、20: 2、21: 2、22: 2、23: 2、24: 1、30: 2、31: 2、35: 2、36: 2、48: 1の右図版、48: 2の右図版は除く)。


(11) 文献

出版歴および図版に引用した文献は次の通りである。

大沼克彦(1991)「ルヴァロワ技法の再考察:“古典的”ルヴァロワ剥離と円盤形石核剥離」Al-Rafidan XII: 57–69.

大沼克彦・久保田正寿(1992)「石器製作技術の復元的研究:細石刃剥離方法の同定研究」Al-Rafidan XIII: 1–26.

大沼克彦(1994)「“古典的ルヴァロワ”石核と“円盤形”石核:復元製作に基づく問題提起」Al-Rafidan XV: 33–50.

大沼克彦(1998)「日本旧石器時代の細石刃製作用岩石加熱処理に関する研究」『平成8年度~平成9年度科学研究費補助金(萌芽的研究)研究成果報告書』: 5–32.

御堂島正(1998)「硬質頁岩の加熱処理」『平成8年度~平成9年度科学研究費補助金(萌芽的研究)研究成果報告書』: 33–42.

西秋良宏(2001)「先史考古学における真と偽―石器のコピーをめぐって」『真贋のはざま―デュシャンから遺伝子まで』西野嘉章編: 31–53、東京大学総合研究博物館.

大沼克彦(2002)『文化としての石器づくり』学生社.

鈴木美保・五十嵐彰・大沼克彦・門脇誠二・国武貞克・砂田佳弘・西秋良宏・御堂島正・山田哲・吉田政行(2002)「石器製作におけるハンマー素材の推定:実験的研究と考古資料への適用」『第四紀研究』41(6): 471–484.

大沼克彦(2008)「石器技術の発展の契機となったもの」『手と道具の人類史』協同医書出版社: 63–99.

Ohnuma, K. (1990) An analysis of the by-products of experimental manufacture of classical Levallois flakes. Al-Rafidan XI: 113–141.

Ohnuma, K. (1993) Experimental studies in the determination of manners of micro-blade detachment. Al-Rafidan XIV: 153–181.

Ohnuma, K., K. Aoki and T. Akazawa (1997) Transmission of tool-making through verbal and non-verbal communication: preliminary experiments in Levallois flake production. Anthropological Science 105(3): 159–168.

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