資料:江上波夫 海外調査年表

戦後~没年まで

年 次 事 項 典 拠
1951年 9月-
1952年 7月 
イスタンブールで開催された国際東洋学者会議に出席、のちフランス、イギリス、西ドイツ、スイス、イタリアを歴訪、各所で講演。1952年4月から6月までレバノン、ヨルダン、イラク、インドの遺跡を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』
1954年 3月-
12月 
マドリードで開催された国際先史学・原史学会議に出席。8月にはケンブリッジで開催された国際東洋学者会議に出席、この折に、三笠宮殿下からメソポタミア遺跡発掘事業に関する依頼をうける。このため、11月はイラクのモースルで、発掘候補地の踏査を行う。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』、
『テル・サラサート I』
1956年 6月-
1957年 7月 
ヨーロッパ18カ国へ出張。この間、1956年9月から翌年7月まで東京大学イラク・イラン遺跡調査団長としてシリア、レバノンなどの遺跡踏査、モースル近郊のテル・サラサート2号丘とイランのマルヴ・ダシュト平原のタル・イ・バクーンの発掘調査を行う。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』、
『イラン・イラク学術調査の歩み』
1958年12月-
1959年 9月 
レバノン、アラブ連合共和国、ヨルダン、イラク、トルコ、イランへ出張。この間、1959年1月から7月まで東京大学イラク・イラン遺跡調査団長としてマルヴ・ダシュト平原のタル・イ・ジャリA・Bとタル・イ・ギャプ、同じくイラン南西部のファハリアンの発掘調査を行う。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』、
『イラン・イラク学術調査の歩み』
1960年 4月-
10月 
ニューヨークで開催された国際イラン美術・考古学会議に出席、のちヨーロッパを歴訪。東京大学イラク・イラン遺跡調査団長としてイランのデーラマン地方のガレクティ、ラスルカン、ホラムルード、ノールズ・マハレの発掘調査を行う。この間、プラハで開催された国際先史学・原史学ユニオンの理事会とモスクワで開催された国際東洋学者会議に出席。ウズベク共和国、アフガニスタンを訪問。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』、
『イラン・イラク学術調査の歩み』
     11月-
1961年 4月 
フルブライト交換教授としてアメリカ合衆国へ出張。シカゴ大学、オリエンタル・インスティテュートで研究。 『江上波夫教授古稀記念論集』
5月-
9月 
コロンビア大学、ハーバード大学で研究。コロラド大学で講義。ハワイで開催された第10回太平洋学術会議に出席、メキシコのマヤ遺跡を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1962年11月-
1963年 1月 
バグダード市1500年祭に出席、のちイラン、南アジア、東南アジアの遺跡を歴訪、香港、台湾の博物館や大学を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』
1964年 2月-
 8月 
東京大学イラク・イラン遺跡調査団長としてテル・サラサート2号丘の発掘調査を再開、マルヴ・ダシュト平原のタル・イ・ムシュキ、デーラマン地方のガレクティ、ハッサニ・マハレの発掘調査を行う。テヘランで開催された国際イラン美術・考古学会議に出席。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『イラン・イラク学術調査の歩み』
1965年 6月-
1966年 3月 
東京大学イラク・イラン遺跡調査団長としてタル・イ・ムシュキ、同じくイランのケルマーンシャー州のターク・イ・ブスターンの調査を行う。調査中に発病、保養のためヨーロッパに滞在。西ドイツで開催されたアルタイ学会に出席。9月にはテル・サラサート1号丘、5号丘の発掘調査を行う。シリア、ヨルダン、レバノン、キプロス、ギリシア、トルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタンに出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『イラン・イラク学術調査の歩み』
5月  テヘランで開催された第1回イラン学会議に出席。 『江上波夫教授古稀記念論集』
8月-
12月 
プラハで開催された国際先史学・原史学会議に出席。ユーゴスラヴィア、ハンガリー、ウクライナ、グルジア、アルメニア、トルクメン、ウズベク諸共和国の博物館や遺跡を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『東洋文化研究所紀要』
1967年11月-
12月 
バグダード博物館開館式に出席。のちシリア、レバノン、ヨルダン、アラブ連合共和国、香港、マカオ、台湾へ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1968年 4月  テヘランで開催された国際イラン美術・考古学会議に出席。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1969年 3月-
 4月 
1970年に開催される万国博覧会の国際美術展に古美術品の出品を依頼するためインド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、イラク、シリア、レバノン、トルコに出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
10月  熊本大学の環地中海建築文化史調査団の一員としてモロッコ、アルジェリアの遺跡で調査。 『江上波夫教授古稀記念論集』
12月  スペイン、フランス、モロッコ、イタリアを旅行。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1970年10月  イラク、アラブ連合共和国へ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1971年10月  ペルシア帝国建国2500年祭および第2回国際イラン学会議に出席。 『江上波夫教授古稀記念論集』
11月-
1972年1月 
中日新聞社主催のティグリス河水没アッシリア文化財引揚調査の調査団長としてイラクのクルナで調査を行う。のち、ティグリス河水没アッシリア文化財引揚調査団員とともに西アジア諸国の遺跡を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』
3月  上智大学西北タイ歴史・文化調査団員の案内でヤオ・アカ・ミャオなどの焼畑農耕山地民族の実態に触れる。 『江上波夫教授古稀記念論集』
10月  韓国政府の招待で、八幡一郎、三上次男、有光教一、樋口隆康らと百済の遺跡を見学。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1973年 5月-
 6月 
今里廣記・井上靖・平山郁夫らとアフガニスタン、イラン、トルコの遺跡を探訪。 『江上波夫教授古稀記念論集』
8月  ヨーロッパ旅行。 『江上波夫教授古稀記念論集』
11月  ベトナム民主共和国の招待で、松本清張、大林太良らと北ベトナムの考古学・人類学的視察を行う。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1974年1月  上智大学西北タイ歴史・文化調査団の一員としてタイ、ラオスへ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
8月  マレーシア、シンガポール、インドネシアに出張。ジョグジャカルタで開かれた国際東南アジア史会議に出席。 『江上波夫教授古稀記念論集』
9月  上智大学ユーフラテス河流域遺跡調査団の団長としてシリアのユーフラテス河流域所在の水没地区にあるルメイラ、ミショルフェ両遺跡を調査。 『江上波夫教授古稀記念論集』
10月  リトルワールドの設立準備のため大貫良夫らとヨーロッパへ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1975年3月  タイ伝統美術・民族文化研究所開設のため、白鳥芳郎らとタイへ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
6月-
10月 
上智大学ユーフラテス河流域遺跡調査団の団長としてシリアのユーフラテス河流域遺跡を調査。また、この間に白鳥芳郎とパキスタン、アフガニスタン、イランを訪問。 『江上波夫教授古稀記念論集』、
『アジア諸民族の歴史と文化  白鳥芳郎教授古稀記念論叢』
12月  タイ、シリアへ出張。 『江上波夫教授古稀記念論集』
1976年 6月-
 7月 
ブルガリア国文化芸術省の招待で、トラキア、ローマ、ビザンティン文化関係遺跡を見学。のちソ連邦科学アカデミーの招待で、キエフ、アルマ・アタ、ノヴォシビルスク、イルクーツク等の研究所や博物館を訪問、主としてスキタイ系文化の遺物を調査。 『江上波夫教授古稀記念論集』
9月  モンゴル人民共和国の招待で、日本モンゴル親善協会会長として同国を訪問。 『江上波夫教授古稀記念論集』
9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてユーフラテス河流域遺跡を調査。 『人間・江上波夫』
1977年10月  古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてユーフラテス河流域遺跡を調査。 「江上波夫館長の出張記録」、
『ルメイラ,ミショルフェ付近のヘレニズム期の遺跡調査概報』
1978年 1月  白鳥芳郎とタイのチェンマイ大学を訪問。リトルワールドのための民具蒐集の協議を行う。 『アジア諸民族の歴史と文化  白鳥芳郎教授古稀記念論叢』
10月-
11月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてユーフラテス河流域遺跡の調査を行う。帰途、ブルガリア、香港を経由。 「江上波夫館長の出張記録」、
『ルメイラ,ミショルフェ付近のヘレニズム期の遺跡調査概報』
1979年 3月  中国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
8月  韓国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
10月-
11月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてユーフラテス河流域遺跡を調査。 『江上波夫氏・文化勲章受章記念展パンフレット』、
「江上波夫館長の出張記録」
11月-
12月 
中国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1980年 3月  韓国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
6月  中国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてユーフラテス河流域遺跡とテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『江上波夫氏・文化勲章受章記念展パンフレット』、
『人間・江上波夫』、
『TELL  MASTUMA』
1981年 7月-
8月 
韓国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1982年 1月-
2月 
フィジーを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
8月-
9月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『テル・マストゥーマ―第1次発掘調査概報―』、
『TELL  MASTUMA』
10月  フランスを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1983年 9月  NHK特集シルクロードの取材のためシリアを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1984年 9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『テル・マストゥーマ―第2次発掘調査概報―』、
『TELL  MASTUMA』
1984年10月  ソビエトを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
11月  中国より帰国。 「江上波夫館長の出張記録」
1985年 5月  平壌で開催される古代史学会より招待をうけ、訪問。 『読売新聞』1992年10月14日
8月  チベットを旅行。 田中公明氏調査記録
8月-
11月 
シリア沖古代遺跡発掘運営委員会委員長としてシリアのタルトゥス沖の沈没船を調査。 『シリア沖沈船発掘調査中間報告書』
1986年 8月-
10月 
シリア沖古代遺跡発掘運営委員会委員長としてシリアのタルトゥス沖の沈没船を調査。 『シリア沖沈船発掘調査中間報告書』
9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『テル・マストゥーマ―第4次発掘調査概報―』、
『TELL  MASTUMA』
11月  中国を訪問。 EG03.243、EG03.264、「江上波夫館長の出張記録」
1987年 6月  中国を訪問。 EG03.255、EG03.317
8月-
 9月 
シリア沖古代遺跡発掘運営委員会委員長としてシリアのタルトゥス沖の沈没船を調査。 『シリア沖沈船発掘調査中間報告書』
10月  北朝鮮を訪問、金日成主席と平壌郊外で会見。 EG03.256、EG03.280、EG03.308、『アサヒグラフ』
1988年 7月  レバノン政府から話をうけ、ベイルートの殉教者広場を発掘調査。 EG03.196、『朝日新聞』1988年8月13日
9月  新疆ウイグル自治区を訪問。 『朝日新聞』1989年5月1日
9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団の団長としてテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『第3回西アジア発掘調査報告会』、『TELL  MASTUMA』
1989年 5月  中国の青海省と寧夏回族自治区を訪問。 『朝日新聞』1989年5月1日
8月  日本・モンゴル合同学術調査隊総隊長として、チンギス・ハンの陵墓を探索するゴルバン・ゴル計画のため、モンゴルを訪問。 『人間・江上波夫』、
『読売新聞』1989年9月6日
9月  シリア考古局主催のエブラ国際会議に出席。 『人間・江上波夫』
11月  韓国を旅行。 「江上波夫館長の出張記録」
1990年 5月-
6月 
中国、内蒙古のオロン・スム遺跡を再訪。チンギス・ハンの陵墓を探索するゴルバン・ゴル計画のため、モンゴルを訪問。 『江上波夫氏・文化勲章受章記念展パンフレット』、
『人間・江上波夫』
7月-
8月 
北欧より帰国後、北朝鮮を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
10月  シリアを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1991年 5月  アジア史学会第二回国際学術討論会のため、中国の長春を訪問。 EG03.268、EG03.269、「江上波夫館長の出張記録」、
『読売新聞』1991年5月26日
6月-
7月 
ゴルバン・ゴル計画のため、モンゴルを訪問。のち、ダダル、カラコルムなどモンゴル国内の史跡を視察。 『人間・江上波夫』、
『読売新聞』1991年7月2日
8月-
9月 
北方ユーラシア学会会長として旧ソ連のアルタイ地方でスキタイ王墓の発掘調査に参加。のち、中国を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」、
『人間・江上波夫』
1992年 4月  北朝鮮を訪問。 EG03.282、EG03.289
6月  ゴルバン・ゴル計画のため、モンゴルのヘルレン川中流域のベース・キャンプを訪問。 『読売新聞』1992年6月18日
10月  森浩一、NHK取材班らと北朝鮮の鴨緑江河畔の積石塚や古墳の壁画を見学。 『アサヒグラフ』
1993年 2月  バーレーンを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
4月  ハワイを旅行する。のち、外務省主催シリア・ジョルダン文化ミッションに参加。
「江上波夫館長の出張記録」
8月  国交正常化二十周年の記念行事の参加のため、日本汎アジア文化交流センター総団長として日中民間友好交歓訪中団の一行とともに北京を訪問。 『北京週報』
9月-
10月 
古代オリエント博物館シリア考古学調査団としてテル・マストゥーマ遺跡を調査。 『TELL  MASTUMA』
11月  ソウルを訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
12月  台湾を訪問。 「江上波夫館長の出張記録」
1994年 5月  シリアより帰国。 「江上波夫館長の出張記録」
10月  汎アジア文化交流センターの招待で北京を訪問。のち韓国全南歴史文化環境研究会のため韓国を訪問。 EG03.263、「江上波夫館長の出張記録」
2002年11月  11日、肺炎のため死去。享年96歳。


 参考文献

  • 江上波夫「第一章 緒説」『テル・サラサート I 第二号丘の発掘 1956-1957』(東洋文化研究所、1958)
  • 「江上波夫教授 略歴・著作目録」『東洋文化研究所紀要』第43冊(東洋文化研究所、1967)
  • 「江上波夫教授自訂略年譜・著作目録」『江上波夫教授古稀記念論集』考古・美術篇(山川出版社、1976)
  • 江上波夫「序に代えて―三枝さんと私―」『アジアの人間と遺跡』(光村推古書院、1981)
  • 『イラン・イラク学術調査の歩み』(東京大学イラン・イラク学術調査室、1981)
  • 『ルメイラ,ミショルフェ付近のヘレニズム期の遺跡調査概報』(財団法人古代オリエント博物館、1979)
  • 『テル・マストゥーマ―第1次発掘調査概報―』(財団法人古代オリエント博物館、1982)
  • 『テル・マストゥーマ―第2次発掘調査概報―』(財団法人古代オリエント博物館、1984)
  • 『テル・マストゥーマ―第4次発掘調査概報―』(財団法人古代オリエント博物館、1987)
  • 『シリア沖沈船発掘調査中間報告書』(シリア沖古代遺跡発掘運営委員会、1991)
  • 『アジア諸民族の歴史と文化  白鳥芳郎教授古稀記念論叢』(白鳥芳郎教授古稀記念論叢刊行会編、1990)
  • 脇田重雄「テル・マストゥーマ第Ⅱ期調査の終了」『第3回西アジア発掘調査報告会』(㈱クバプロ、1997)
  • 「江上波夫踏査年表」「江上波夫 略譜」『人間・江上波夫』(シルクロード立体展実行委員会/株式会社NHKアート、1992)
  • 『江上波夫氏・文化勲章受章記念展パンフレット』(古代オリエント博物館、1992)
  • 『北京週報』39号(北京週報社、1992)
  • 「江上波夫の八十八年」『アサヒグラフ』(朝日新聞社、1994年12月16日)
  • 「TELL MASTUMA」(Ancient Orient Museum、2009)
  • 「江上波夫館長の出張記録」古代オリエント博物館事務局長、木村氏提供資料。
  • ※このほか、新聞記事、旧蔵資料の跋などから確認できる訪問歴を掲載。

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