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『東京大学』(東京大学総合研究博物館編・西野嘉章監修)発刊のご案内

『東京大学』(東京大学総合研究博物館編・西野嘉章監修)発刊のご案内

 外国の諸大学を訪問すると分厚い大学の歴史についての書物や写真集をしばしば贈られるのに、東京大学はどうなっているのか、何かそれに類するものがないのか。本書はこのことへここ数年頭を悩ませてこられた佐々木毅(前)総長の発案のもと、博物館で編集が進められてきたもので、「緒言」(佐々木毅総長)、「はじめに」(高橋進本館館長)のあと、「東京大学本郷キャンパスの歴史と建築」(藤井恵介・工学系研究科)、「東京大学コレクション」(西野嘉章・総合研究博物館)、「東京大学の歩み」(谷本宗生・大学史史料室)からなっている。

 各方面で先学を継承しつつ受け売りでない何かが追究されていけば、総体としての学問は一方では複雑化していくだろうから、それらを再構成する視座の重要性はたえず強調されてしかるべきものであろう。本書でとりあげられている建築やコレクションは主として歴史的なものとはいえ、まぎれもなく各方面の先端的な教育研究活動を支えてきたものたちで、印象的な写真や紙面構成のもと、それらが一同に会された本書は、将来的な学問やそれらをとりまく環境のあり方を考える上でも示唆するものが少なくない。またそれらは大学博物館の展示・研究を通してさまざまな形でとりくまれてこられた、監修者の西野嘉章教授がとりわけこだわってこられたテーマのひとつでもある。

 明治初頭に東大キャンパスの計画案が工部大学校お雇い外国人教師ジョサイア・コンドルによって描かれたことが知られている。H型に5つの棟が配されたものだが、オープンスペースを挟んで大講堂(講義ホール)+図書館と対置される形で比較的大きな博物館が計画されていたことはあまり注目されていない。これは銀杏並木を挟んで図書館と博物館が対置された有名な内田祥三の計画案が(直接参照されたかどうかはともかく)遠く先取りされたものと言えなくもない。そもそも全学的な「総図」が工部省を通してコンドルへ委ねられ、一部の校舎が実現された経緯については、当時の東京大学総理加藤弘之がみずから語っているところでもある。

 本書の編集へいたるまでの経緯、さらには今後のあり方については、冒頭の「緒言」や「はじめに」でもふれられている。明治初頭あるいはそれ以前から100年以上にわたって蓄積されてきたものは膨大で、それらのまとめ方もまたさまざまな可能性が考えられようが、ひとまず実現をみた本書が、将来的な「大学本」のあり方、ひいては大学そのもののあり方を考えるための「総図」のひとつとしても、広く手にとられていくことを期待したい。

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(藤尾直史/本館助手)
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小学生の博物館見学

サルの頭骨の説明をきく生徒たち

 「Systema Naturae」展と「メディアとしての建築」展の展示室が、小学生の好奇心あふれる表情で満たされた一日があった。お茶の水女子大学付属小学校5年生 132名が来館し、少人数のグループに分かれて、展示を企画した教員7名から展示解説を受けた2005年2月28日のことである。この5年生は「マーク・ダイオン 驚異の部屋」展以来、企画展が開催される度に来館し、担当教官や博物館工学ゼミの学生から展示解説を受け、感想文を綴っている。生徒達は毎回、展覧会の空気を敏感に感じ取り、様々な表情を見せる。自然界の多様性、分類の意味、万博を切り口にした建築について語る教官の話には、熱心に静かに耳を傾けてメモをとった。博物館見学に慣れ、見学マナーを身につけていることが分かる。一方、美しく不思議な形状の貝に歓声を上げたり、動物の骨格標本を手にして興奮したり、次々に質問する様子からは、子どもらしい旺盛な好奇心が感じられた。

 展示内容によって異なるが、本博物館の来館者の年齢層は高い。しかし、ターゲットとする層を限定しているわけではない。それぞれのアジェンダを持って来館する様々な年代の方々に、博物館見学が意味のある体験となるように取り組む使命がある。小学生にとっては教官から直接話を聞いた体験は、断片でも記憶され、今後の生活に意味を持つかもしれない。また、子ども達に研究内容を語る機会の少ない教官にとっては、この展示解説は貴重な体験となったのではないかと考える。

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(湯浅万紀子/人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程)
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ボランティアのご協力

 特別展「メディアとしての建築」の開催にあたり、下記の博物館ボランティアの方のご協力をいただきました。伊藤道子、飯干ユミ、鵜原 一彦、岡村幸子、沖川康子、神田理子、國近尚三、 熊谷昌子、黒田景子、 小久保 恭子、斉藤 春江、木全功子、坂井 千里、佐藤和子、鈴木治雄、住田美和子、高橋恭子、冨森孝子、永田正博、竹ノ内 育子、中島久美子、福田 稔、渕上妙子、舩窪英子、星佳子、堀井美喜雄、堀江千江子、松山薩男、馬渕恵子、三好史郎、柚木陽子

来館者

 事前に申し込みのあった主な来館者は下記の通りです(平成17年2月5日〜平成17年4月19日)。本館:中国科学院研究生院、大一外国語高等学校(韓国)、近畿大学附属豊岡高等学校、京都大学総合博物館、東京大学教育学部附属中等教育学校、横手高校、福島県本郷中学校、岩手県宮守村立宮守中学校 小石川分館:Marburg大学日本文化研究所

博物館教職員

 事務部では、平成17年3月31日付けで、博物館情報係谷川愛事務補佐員が退職しました。平成17年4月1日付けで、改組によって研究協力部研究協力課内にあった博物館情報係と博物館会計係にかわって、研究協力部内に総合研究博物館グループが設けられました。また平成17年4月11日付けで博物館グループに奥寺ますみ一般職員が着任しました。

 現在の博物館の専任スタッフは以下のとおりです。

館長
   高橋 進(大学院法学政治学研究科 教授・政治外交史)

研究部
  キュラトリアルワーク研究系
   教授 大場秀章 (植物分類学)
   助教授 高槻成紀 (動物生態学)
   助教授 諏訪元 (形態人類学)
   助手 佐々木猛智(動物分類学)
  博物資源開発研究系
   教授 田賀井 篤平(バイオ鉱物学)
   助教授 西秋良宏 (先史考古学)
   客員助教授 マーカス・フェルフーフェン(先史考古学)
  博物情報メディア研究系
   教授 西野嘉章(博物館工学)
   助手 鵜坂智則(情報科学)
   助手 藤尾直史(建築史学)
  ミュージアムテクノロジー寄付研究部門
   客員教授 神内俊郎(情報工学)
   客員教授 菊池 誠(建築設計)
   客員助教授 洪 恒夫(展示デザイン)
  放射性炭素年代測定室
   助手 吉田邦夫(年代学/考古化学)

事務部
  総合研究博物館グループ
   総務主査  砂子田美代子
  庶務チーム
   一般職員  高松 宏
   一般職員  土屋雅史
   一般職員  奥寺ますみ
   一般職員  原田園子
   技術補佐員  冨​田 綾子
  会計チーム
   係長  宇野 勤
   主任  田嵜洋恵(休職)
   一般職員  木船 聡
   事務補佐員  萩原真里
  小石川分館
   事務補佐員  片岡 最

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Ouroboros 第27号
東京大学総合研究博物館ニュース
発行日:平成17年5月30日
編集人:高槻成紀・佐々木猛智/発行人:高橋 進/発行所:東京大学総合研究博物館