東京大学総合研究博物館に収蔵されている縄文時代人骨は、本館標本資料報告第三号「東京大学総合研究資料館収蔵日本縄文時代人骨型録」に、従来からその概要が掲載されている。我々は2000年以来、本館の縄文時代人骨コレクションについて、現存状態の確認と整理、関連情報の整備、そしてデータベース化を実施してきた。その成果の一部は、既に本館資料報告第52号(保美)、第54号(姥山)、第61号(堀之内、加曽利、曽谷など)として出版されている。今回は千葉県の遺跡のうち、向ノ台貝塚、粟島台遺跡、城ノ台貝塚、矢作貝塚、余山貝塚の5遺跡の標本群について報告する。データベースの形式は前回と同じであり、その方法と内容の記述については、前回までのものを再録した。遺跡の掲載順は標本資料報告第三号にならった。
以前より、当館所蔵の「保存資料」の一部として、酒詰仲男による調査日誌に言及してきた。これらは、酒詰仲男個人所有の調査日誌から転記編集し、東京大学人類学教室に収蔵されたものと思われる(大学ノート7冊、別4冊子)。これらの保存資料については、前回(第61号)以来、「人類学教室酒詰仲男調査報告」として引用している。また、酒詰仲男個人所有の日録ならび調査日誌には、より網羅的に、1938(昭和13)年から1953(昭和28)年の間の遺跡調査の内容が記されている。今回の報告では、現所有者の酒詰治男氏のご好意により、これらの資料の閲覧許可をいただき、参考とさせていただいた。ここに同氏に厚く御礼を申し上げる。本稿では「酒詰仲男日録・調査」として言及し、「人類学教室酒詰仲男調査報告」と区別した。
本資料報告は、筆者らの他、松川慎也、桑村和行、佐宗亜衣子、斎藤拓弥の標本整理作業に基づいている。また、高橋昌子氏、近藤修氏、山崎真治氏には様々にご教示いただいた。ここに謝意を表し、厚く御礼申し上げる。
2007年3月
諏訪 元
平成17,18,19年度科学研究費補助金使用