このデータベースは東京大学総合研究博物館・人類先史部門所蔵の土偶、その他土製品、岩版、岩偶などの石製品若干数、総計800点ほどの先史・考古学標本の画像データベースである。当コレクションは1877年のE.S.モースによる東京大森貝塚の調査まで溯り、ほとんどの標本が明治期後半から昭和初期に収集され、中でも明治期に由来するものが多い。これらの標本は、日本の人類学、考古学の草創期に本学の研究者による学術調査の一環として、あるいは寄贈品として集積されたものである。このため、当館のコレクションには学史的に重要な標本が多数含まれ、また、優品が少なくない。
本館の人類先史部門では、1980年代より収蔵標本の公開利用を推進すべく、データベース化を進めてきた。土偶・土製品標本については調査・研究歴などの関連情報を整備した上で、1991年には標本資料報告が(「東京大学総合研究資料館所蔵、縄文時代土偶・その他土製品カタログ」磯前順一・赤澤威著)、 1996年には標本20点を加えた増訂版が出版された(「東京大学総合研究博物館所蔵、縄文時代土偶・その他土製品カタログ」磯前順一・赤澤威著、言叢社)。本画像データベースは、これら出版カタログをもととし、付随情報を簡略化して作製した。ただし、画像としては新たに撮影したカラー写真をデジタル化し、また、未登録であった標本を若干数加えた。
本館人類先史部門所蔵の土偶・土製品標本の約800点のうち、半数以上の450点ほどが土偶であり、次いで耳飾(120点以上)、土版(30点以上)が多く、より少数の土製仮面、動物型土製品、円盤型土製品、有孔円盤型土製品、岩版・岩偶などが含まれる。本標本群全般の性格と調査歴については出版カタログに述べてある。中にはいわゆる有名標本も含まれ、当館では学術普及活動の一環として、国内各地の博物館相当施設の企画展示などへの出展協力、各種出版物への写真提供などを行っている。
平成18年度科学研究費補助金使用