東京湾をリンクする横浜ベイブリッジは横浜港のゲイトであり、横浜と東京、そうして千葉を直結し、私たちの大黒埠頭は、羽田空港に近接したジャンクションとして、地上50mの高さ、100mものスパンを軽々とループ状のランプが空中を飛び交っている。そのクロソイド曲線の三次元的道路が2050年の都市を変える。
これ迄ほとんどの都市計画は平面上のグリッドから出発し、平面上の道路によって区画し連結していた。平面上の分割に拘束されない、中空の都市に生命の息吹を与えるための循環系、神経系。その経路、脈絡を与える三次元の移動空間が形成する立体的都市空間が私たちのプロポーザルである。
地上300mを超す高層ビル群の低層階を歩行者に開放し、自然環境を取り戻すために地上から道路をなくし、道路を空中に持ち上げ地上100m以上の高層階に直接アクセスさせることによって、都市はグリッドからも、平面交叉する地上交通からも解放される。空中の道路上を、ドアからドアへ、目的の地点へ向けて、連続的にアクセスできる空中都市。アクセスフリーの高層ビル群のアプローチレベルはエントランスホールやロビーであり、まるで駅のコンコースのような結節部分になり、上下階に人々は自由に行き交うことができる。パーキングをその近くに持つことによってその垂直の都市は垂直の広場を持つことになる。私たちの作った二重螺旋の海のピラミッド(1991)のような住居やホテルでは、ドアからドアへと連続的に直結される。パブリックな空間を経ないでプライベートの空間からプライベートの空間への移動を可能にする二重螺旋の道路と駐車場。それは20世紀の都市にとって夢でしかなかった。空中で連続的に直結する新しい超高層ビル群によって都市が三次元で構想される時、街路、街区、交通信号は全て消滅し、地上には自然が再現される。花が咲乱れ、森の小径でジョギングしたり乗馬を楽しんだり、そうして、運河にはヨットやボートを浮かべ横浜港へ漕ぎ出すのである。
軽やかな、リボンのようなハイウェイが結ぶ都市。羽田空港迄10分の大黒ピアシティー。超高密度で多様な生活空間は、最も利便性の高い効率的な24時間都市であり、地上に降りれば緑陰深い森に迷いこむ。都市と田園という二項対立を過去のものとする地上の楽園と空中都市に住み、そうして働くことが利便性と快適性を同時に可能にする。2050年、アスファルトジャングルは、もうここにはない。
LE GRAND CUBE
空中パーキングに直接アクセスするオフィスビル。120m×120m×120mのユニバーサルグリッド立方格子の中央芯部に72m×72m×72mのパーキングボックスが挿入されることにより、全てのアクセス路、配管系統のほとんどは空中から直接プラグインされ、高層ビルのオフィスアクセスの利便性が飛躍的に高められている。
採光等の面で居住性の悪い中央芯部を、パーキングボックスが占め、その割合を様々に設定することにより、どんなスケールにも拡張可能。この場合は、収容人員10人当り1台の駐車台数が確保されている。
ほぼ同じ大きさのLA GRANDE ARCHEとLOUVREを結ぶシャンゼリゼとほぼ同じ軸線上に位置している。
地上30階建 高さ114m 延床面積 390,000m2 水平投影面積 14,000m2 収容人員 36,000人 駐車台数 3,600台 レンタブルスペース 213,000m2
HOTEL DIMARYP
最上階よりアクセスされるコンベンション機能を持つ、逆角錐形高層ホテル。上部3層に、ヘリポート、駐車場、その下にコンベンション機能をもつパブリックスペース、低層部にホテル客室が設けられる。高層から低層へと人口密度が減少し、パブリックな空間からプライベートな空間へと移行する。
最下階に残された広大な地盤レベルは、レクリエーションのための森、セミプライベートの庭園である。ギゼにあるクフ王のピラミッドと同じ高さで同じ方位を指している。
地上32階建 高さ137m 延床面積 144,000m2 水平投影面積 22,500m2 客室数 1,140室 収容人員 22,000人 駐車台数 1,600台 ヘリポート 900m2 コンベンションスペース 43,400m2 エンターテイメントスペース 13,000m2
UNITE D'HABITATION, YOKOHAMA
住戸のドアまで車で直接アプローチし駐車できる超高層空中住居。車のアプローチ長さを最小にするため(2.5Km以下)、ユニテ・ダビダシオンのメゾネット断面が、スロープ状に積層された。
4層毎に現れるメゾネット住戸の直上階及び直下階が、車用斜路と上下階住戸の駐車場となる(駐車台数1.2台/戸)。
メゾネット中間階の中廊下は、歩行者専用道路である。
マルセイユのユニテ・ダビダシオン4棟分程度の住戸が収容可能。もしこれを1列に並べれば、700mの長さになる。DOOR to DOORの快適性と、解放された大地、自然環境、ピロティと屋上庭園。
地上60階建 高さ260 延床面積 434,000m2 水平投影面積 7,240m2=sup> 住戸数 1,500戸(6,000人) 駐車台数 1,800台 TRIDENT CROSS
空中で連結された、3本の超高層斜塔。構造上のメリットと同時に、連結部にコンベンションスペース、レストラン、駐車スペース等、パブリック機能が集約されることにより、オフィスプログラムが再編成される。
ここでは全てオフィス設定されているが、1塔をホテルとすれば、ホテルサービスをオフィスが享受するといった、様々なプログラムも可能となる。
2050年には既にダイレクトドライブの高速、急角度の斜行エレベータも開発されているだろう。
地上79階建 高さ326m 延床面積 200,000m2 水平投影面積 6,000m2 収容人員 24,000人 駐車台数 500台 NEPTUNE
車で直接アプローチされる埠頭先端のヨットクラブタワー。最上部、周辺部にクラブ機能を持つ。
ケプラーの8角星形シルエット。
地上12階建 高さ60m 延床面積 5,500m2 水平投影面積 1,280m2 収容人員 400人 クラブスペース 1,350m2 SANCTUARY
車のための道路が空中に持ち上げられ、高層の巨大集約建築の出現によって、大地は森として解放される。容積率417.8%を保ちながら、建蔽率は18.3%に押さえられ、緑地保有率は81.7%となる。
森の中を運河が通り、スポーツ施設が設けられ、レストランや市場など様々なパブリック施設がパビリオンとして散在する、人間のための大地。
都市の中の鳥獣保護区域。