第2部 展示解説 動物界

軟体動物の分類と系統関係

頭足綱(Class Cephalopoda)

 

オウムガイ亜綱 (Subclass Nautiloidea):

 現生のオウ ムガイ類は、螺旋状に巻いた殻をもつ。殻は体の外側にあり、体全体を覆う。このような殻は内部に埋もれる殻 (内殻性 endocochleate の殻) と対比させて外殻性 (ectocochleate) の殻と呼ばれる。貝殻の内部は隔壁 によって多数の部屋( 気室 air chamber) に分かれている。 軟体部には 90本近い触手(cirri) をもち、鰓は対 あり、触手には吸盤がなく、墨をはかない、など他の現生の頭足類(鞘形類) とは大きく異なる。体が殻に覆われているためか、鞘形類に見られるような色素胞による体色の変化がなく、発光器をもたない等の特徴をもつ。

 オウムガイ亜綱の分類は、主に殻の内部構造の形質にもとづいて行われている (Teichert,1988 など) 。亜網の化石記録は古くカンプリア紀にさかのぼる。初期のオウムガイ亜綱の殻は螺旋形ではなくまっすぐに成長するものが多いが、デボン紀以降では螺旋状の殻を もつグループが繁栄している。オウムガイ類は主に古生代に栄えたグループであり、半分以上のグループがシルル紀の終わりまでに絶滅した。

 現生のオウムガイ亜網は、すべてオウムガイ科 Nautilidae 、オウムガイ属 Nautilus に属する。 オウムガイ類は、オウムガイ N.pompilius(図 13) 、オオベソオウムガイ N.macromphalus ( 佐々木 ,2002: 図1) 、ヒロベソオウムガイ N.scrobiculatus、コベソオウムガイ N.stenomphalus、パラオオウムガイ N.belauensis の 5 種、または オーストラリア産のキ レフオウムガイ N. reperutus を加えた 6 種に分類されるか、または後者の 3種はオウムガイの地理的変異と見なされることもある (Tanabe et al.,1990) 。

 

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