デジタルミュージアムを支える技術
仮想現実技術

遠隔操作と遠隔ビデオ

− 越塚 登 −


図1 縄文遺跡インターネット中継システムの遺跡中継画面

インターネットは人と人との間のコミュニケーションを媒介するだけでなく、機械と機械、または人と機械の間のコミュニケーションをも媒介することができる。そこで、近年、あらゆる電子機器にネットワーク接続機能を付与し、インターネットから制御可能であったり、またはインターネットに対して何らかの情報出力が可能な機器が増えてきた。こうした動きはしばしば、“Everything IP”などと呼ばれる。

現在、エンドユーザにとって最も実用になっているものが、ビデオカメラのインターネット化である。ビデオカメラが直接インターネット用のネットワーク出力を持ち、Java言語形式やJPEGといった画像データ形式によって、撮影画像を直接インターネット出力するようになった。こうしたカメラをインターネットカメラと呼んでいる。これらの機器は、カメラのズーミングやチルトをインターネットから制御する機能も有している。こうした機能をテレオペレーションと呼ぶ。従って、インターネットや電話回線が存在する場所であれば、このインターネットカメラを使えば、その場所のライブ映像を世界中のどこからでも世界中に配信することが可能である。また、世界中のどこからでも、そのカメラをコントロールすることすら可能である。

そこで、このテレオペレーションとインターネットカメラの技術を利用して、今回我々は「縄文遺跡インターネット中継システム」を構築した。本システムは、インターネットカメラサイトを設置した国内の有名縄文遺跡やその展示場4箇所から構成される。そこからのライブ映像は、一旦東京大学に設置されたインターネットカメラサーバに集約され、世界中のインターネットユーザが、この東京大学のサーバに接続することで、これらの場所の映像を見ることができる。