新聞図会 第九号
老母と妻子が斬殺された事件。家に古く住む蛇を打ち殺したたたりとして説明され画面にも描かれているが、目をひくのは男の足やふすまにべっとりとついた血の手形である。大阪の新聞錦絵もまた、枠の赤と血の赤とを引用している。
新聞図会 第九号
下京廿二区八坂上清水三丁目/画師浅井柳塘ハ他処にかせぎに/行し跡に■て此家に身を寄せる武田信一といふ男妻子とともに留宅/を守りしに主の許よりおこせし一封ハ古郷を思ふかなふミの/てには余して此男家内へよんできかするに真実かくれ内證と/封じ込たる養ひ金見るより男ハ悪念発し一人寝詫が/女房のみさホに/揖をとりそへ/てくどきよるべの恋風を/真受けによけるをくりかへし▲/▲とりたる/心の悪工ミかなヘハ金を我が物に/なさんとするに仕果てかね横分別の/一卜腰に老母と妻子両人を世ハ/転変の七ころび八坂のつゆと/切害し金と衣服を奪ひとり家に/火をかけ逃んとせしも早く聞へて/縛られたり是この家に古く棲む/蛇を嫌ふて打殺せし穴から事を/引出せし長物かたりハ省て記ス
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