絵解きとしての新聞錦絵
新聞という明治近代の新しいメディア情報を、「絵解く」という形で引用し、商品化したのが新聞錦絵であった。新聞錦絵は、絵草紙屋が売り出した新しい商品であった。この新聞錦絵の制作にかかわった戯作者や絵師たちが、その一方で新しく立ち上がりつつあった日刊新聞の世界にもかかわっている点は、新聞錦絵が生みだした情報世界を考えるうえで面白い論点である。
大日本新聞雑誌名録
東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
明治一〇年四月の番付形式の新聞雑誌リストである。東京日々新聞や郵便報知新聞、朝野新聞などが上位に記されている。新聞は、話題の新しいメディアであった。新聞錦絵はこうしたメディアの情報を絵解くという形で展開した。図223