第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

 

 カサゴ目 Scorpaeniformes [ 7亜日 25科約 266属約 1271種 ]

 3番目の眼下骨が後方に延びる。この骨は頬を横切って前鰓蓋骨まで達し、いわゆる眼下骨棚を形成する。鰭には棘条が発達する。 腹鰭は胸位で、1棘 5軟条。上顎は前上顎骨で縁どられる。多くの種では、頭部に棘や骨板が発達する。最古の化石は中期始新世の地 層から発見されている。
 本目の最近の動向については、今村・篠原 (1997) 、 Imamura and Shinohara(1998) および Imamura and Yabe(2002) を参照。

 

 セミホウボウ亜目 Dactyloptefoldei [ 1科 2属約 7種 ]

 頭部は骨板で覆われている。胸鰭は著しく大きい。見かけはホウボウ科 Triglidae魚類 ( カサゴ亜目 Scorpaenoidei) と似ているが、骨格など体の内部は異なる。舌顎骨を使って発音する。
  セミホウボウ科 Dactylopteridae 魚類はインド〜太平洋・大西洋の熱帯海域に生息する。胸鰭を支えに海底に静止する。

 

 カサコ亜目 Scorpaenoidei [ 7科約 96属約 544種 ]

 頭部には棘や骨板が発達する。
  多様性が高い科はフサカサゴ科 Scorpaenidae( 約 388種 ) で、熱帯・温帯の海域、まれに淡水域に分布する。多くの種が背鰭・臀鰭・腹鰭の棘条に毒腺をもっている。次に多様化しているホウボウわ には約 100 種が含まれ、熱帯・温帯海域に分布する。

 

 コチ亜目 Platycephaloidei [ 3科約 23属約 75種 ]

  体は細長く、縦扁している。頭部にはふつう骨質の隆起や棘がある。左右の腹鰭はよく離れている。
 代表的な科はコチ科 Platycephalldae( 約 60 種 ) で、インド〜太平洋海域に生息する。この科には汽水種もいる。胸鰭に遊離した軟条はない。腹鰭は胸鰭の後方にある。

 

 ギンダラ亜目 Anoplopomatoldei [ 1科 2属 2種 ]

 頭部には骨質の隆起・棘・皮弁などが全くない。ギンダラ科 Anoploporylatidae 魚類は北太平洋に分布する。

 

 アイナメ 亜目 Hexagrammoldei [ 1科 5属 11種 ]

 頭部には骨質の隆起や聴はないが、皮弁がある。アイナメ科 Hexagrammidae 魚類は北太平洋海域のみに分布。

 

 ノルマニクテュス亜目 Normanichthyoidei [ 1科 1属 1種 ]

 頭部に骨質の隆起や棘はない。唯一の科であるノルマニクテュス科 Normanichthyidae にはペルーとチリ沖から 1種が報告されているのみ。

 

 カジカ亜目 Cottoidei [ 11科約 137属約 631種 ]( 図 24)

 この仲間は、ふつう水底で定着生活をしており、鰾をもたない。 縦扁した頭部には側線感覚器官がよく発達している。これは、水底で生活する彼らにとって上方からの情報を得ることが重要なためと考えられている。
 最大の科はカジカ科 Cottidae( 約 300種 ) で、北半球、オーストラリア東部、ニューギニア、ニュージーランドの海域および淡水域に分布する。日本およびその周辺海域にも 100種以上が分布している。次に大きい科はクサウオ科 Liparidae( 約 195種 ) で、北極海から南極海まで生息する。

 

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