第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 


 クジラウオ目 Stephamberyciformes [ 9科 28属約 86種 ]

 背鰭は1基で、多くの種では体のかなり後方にある。背鰭の棘条はあっても弱い。すべて海産で、多くのものは深海に生息している。 最古の化石は後期中新世のものであるが、耳石は前期始新世の地層から発見されている。

 

 キンメダイ目 Beryciformes [ 3亜目 7科 28属約 123種 ]

 上顎は伸出可能。ほとんどの種で上顎は前上顎骨で縁どられる。 眼窩蝶形骨をもつ。腹鰭はふつう 1棘条と 6本以上の軟条からなる。 尾鰭の分枝鰭条は 16 または17 本 ( 主鰭条は 18 か 19本 ) 。白亜紀後期の地層からは、すでに多様化した様々なキンメダイ類の化石が産 出する。

 

 ヒウチダイ亜目 trchichthyoidei [ 5科 18属約 49種 ]

 深海に生息するものが多く、ヒカリキンメダイ科 Anomalopidae(6種) ・マツカサウオ科 M o n ocentrid ae(4種) とヒウチダイ科 Trachichthyidae(約 33種) の一部の種は発光器官をもっている。

 

 キンメダイ亜目 Berycoidei [ 1科 2属約 9種 ]

 キンメダイ科 Berycidae のみからなる。多くの種では、鱗の内側に丸い肉質の突起がある。大西洋・インド洋・西部および中部太平洋海域に分布する。

 

 イットウダイ亜目 Holocentroidei [ 1科 8属約 65種 ]

 イットウダイ科 Hdocentridae のみからなる。鱗は大きい櫛鱗で、後縁の鋸歯は非常に鋭い。大西洋・インド洋・太平洋の熱帯海域に分布する。

 

 マトウダイ目 Zeiformes [ 2亜目 6科 20属約 39種 ]

 体は高く、強く側扁している。口は大きくて斜め上方を向いている。 上顎は前上顎骨で縁どられ、ふつう大いに伸出できる。眼窩蝶形骨 はない。腹鰭は胸位または亜胸位で、腰帯は擬鎖骨に接着する。腹鰭に 1棘条をもつものともたないものがいる。背鰭・臀鰭・胸鰭の軟条は不分枝。最古の化石は後期暁新世の地層から発見されている。
  このグループの魚は世界中の海域に分布し、大陸棚、大陸斜面あるいは海山上の中層や深層に生息している。分布の広い種が多い。

 

 マ卜ウダイ亜目 Zeioidei [ 5科 18属約 31種 ]

 この亜目を代表する科はマトウダイ科 Zeidae(13種) である。この科では、背鰭と嘗鰭の基底に棘状板がある。大西洋・インド洋・太平洋海域に分布する。

 

 ヒシダイ亜E目 Caproidei [ 1科 2属 8種 ]

 ヒシダイ科 Caproidae のみからなる。体は明るい橙色から赤色。 体が極端に高く、強く側扁する。この仲間の最古の化石は中期始新世の地層から発見されている。

 

 トゲウオ目 Gasterosteiformes [ 2亜目 11科 71属約 257種 ]

 腰帯は擬鎖骨に直接接着することはない。上主上顎骨、眼窩蝶形骨および基蝶形骨を欠く。体はしばしば鱗が変形した骨板に覆われている。ふつう吻は長く、口は小さい。最古の化石は白亜紀後期のものである。

 

 トゲウオ亜目 Gasterosteoidei [ 3科 8属約 10種 ]

  上顎は伸出可能。
  トゲウオ科 Gasterosteidae 魚類 (7種以上が含まれる) の生活様式は多様で、淡水産あるいは海産のほか、淡水域と海の間を回遊 ( 通し回遊 ) するものがいる。

 

 ヨウジウオ亜目 Syngnatholdei [ 8科 63属約 247種 ]

 吻は管状で、その先端に小さな口がある。上顎は伸出不可能。
 最大の科であるヨウジウオ科 Syngnathidae( 約 215種 ) は、ほとん どの種が浅海性。ヨウジウオ類の体は細長く、体表は骨板に覆われ ている。雄が卵の世話をする。タツノオトシゴ類 ( ヨウジウオ科タツノオトシコ亜科 Hippocampinae) の雄の腹部には卵を収納する育児嚢 があって、卵はそこで癖化する。

 

 タウナギ目 Synbranchiformes [ 2亜目 3科 12属約 87種 ]

 体はウナギ形で、腹鰭がない。前上顎骨は伸出不可能で、上向突起もない。鰓孔は体の中央より下方にある。一部の種を除いて淡水域に生息。最古の化石は中期中新世のものである。

 

 タウナギ亜目 Synbranchoidei [ 1科 4属 15種 ]

 体形はウナギ目魚類によく似ている。腹鰭だけでなく、胸鰭もない。 背鰭と臀鰭も退化的である。尾鰭も退化的で、小さい尾鰭をもつも のから全く欠くものまでいる。ほとんどの種で空気呼服が可能。大き いものは全長 1m にまでなる。
  タウナギ科 Synbranchidae 魚類はアフリカ・リベリア・インド 〜オー ス卜ラリア群島・メキシコ・中央および南アメリカの熱帯・亜熱帯の淡水域に分布。いくつかの種はときに汽水域にも入る。日本にはタウナギ Monopterus albus のみが分布するが、これは外国から持ち込 まれたものと考えられている。この魚は雌から雄に性転換する。

 

 トゲウナギ亜目 Mastacernbebidei [ 2科 8属約 72種 ]

 背鰭と臀鰭が小さい尾鰭と連続するものとしないものがいる。 代表的な科はトゲウナギ科 Mastacembelldae( 約 67種 ) である。 この科では、背鰭の前部は 1つ 1つが離れた 9-42 本の棘条からなっている。吻の先端に肉質の突起がある。種によっては、相当の期間砂や泥の中に潜っていることが知られている。アフリカの熱帯および シリアからマレ一群島・中国までの淡水域に分布する。
  この仲間で現在、日本に分布するものはいないが、卜ゲウナギ類と思 われる化石が長崎県壱岐の中期中新世の地層から発見されている。

 

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