第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

 カワカマス目 Esociformes [ 2科 4属約 10種 ]

 主上顎骨には歯はないが、前上顎骨と下顎 ( 歯骨 ) には歯があり、魚類や甲殻類を活発に捕食する。脂鰭はなく、背鰭と臀鰭は体の後方にある。北半球の淡水域に分布する。
  カワカマス科 Esocidae 魚類 (5種) は、北半球の湖や緩やかな流れの川に生息している。吻と顎は長く、縦扁した口には鋭い歯が並ぶ。 肉食性で、大食漢として有名。大型種もおり、カワカマス Esox lucius は 25kg 以上になる。 カワカマス科魚類の最古の化石はカナダ・アルパータ州の白亜紀後期の地層から発見されている。このことから、カワカマス類は北アメ リカには生物が大量に絶滅した白直紀末より前から存在し、この絶滅の時代を生き延びたと考えられている。

 

 キュウリウオ目 Osmeriformes [ 2亜目 13科約 74属約 236種 ]

 体は小さくて細長いものが多い。背鰭は 1基で、軟条のみからなる。 脂鰭はもつものともたないものがいる。腹鰭は腹位。最古の化石は白亜紀前期のものである。

 

 ニギス亜目 Argentimidei [ 7科約 50属約 164種 ]

 小さい餌を固めるための特別な器官が鰓の上部にある。ほとんどの種が深海性。

 

 キュウリウオ亜目 Osmeroidei [ 6科 24属約 72種 ]( 図 17)

 この仲間は淡水域に生息するか、海と河川の間を回避する ( 通し回遊 ) 。

 

 サケ目 Salmoniformes [ 1科 11属約 66種 ]

 やや細長い紡錘形で、ふつう側扁している。背鰭と腹鰭は体の中央付近にある。すべての鰭は軟条のみからなる。脂鰭がある。多くの種の若魚の体側には小判形の黒い斑紋がある。成熟すると、雄の顎は曲がって、「鼻曲がり」 となる。すべて肉食性。最古の化石は白亜配 のものである。
  卵から幼魚までは河川で過ごし、降海して成長したのち、生まれた河川に遡上して産卵する ( 遡上回遊 )( 降海型という ) 。なかには降海することなく、一生淡水域で過ごすものもいる。これは、降海型に対して、陸封型と呼ばれる。同じ種にも両方の型がみられる。サクラマス Oncorhynchus masou masou( 陸封型はヤマメ ) 、サツキマス O.masou ishikawae( アマゴ ) 、ベニザケ 0.nerka nerka( ヒメマス)、スチールヘッド・卜ラウト 0.mykiss( ニジマス ) 、アメマス Salvelinus leucomanis leucomaenis(工ゾイワナ) などである。
  現在、サケ目はサケ科 Salmonidae のみからなる。本来北半球の淡水域に生息する魚類であるが、今日ではいくつかの種が南半球も含め世界各地に移植されている。

 

 

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