水産動物標本の中には、全長1mを越すサメ類の大型標本約200点を含め、 約500点の板鰓類の標本がある。 その他にサメ類の顎と骨格の乾燥標本が約100点ある。 これは、主に、現部門主任谷内透がサメ類の分類、生態、 再生産等に関する研究において採集したものである。 軟骨魚類は大型になるため採集、保管が困難なものが多く、 大きなコレクションは少ない。 当部門の板鰓類のコレクションは日本産サメ類の約8割にのぼる種を含み、 おそらく国内最大であろう。 これは多くの研究者にとって貫重なコレクションである。
サメ類シロワニの歯に関する詳細は、デジタルミュージアム
「動く大地とその生物」の
「シロワニの歯」
の項*を参照して下さい。*東京大学総合研究博物館データベースのサイト内に再構築されたものです。(2017年2月 記)
故石川昌博士のジンドウイカ類の研究の基になった標本と、 大陸を含めた各地からの魚類標本も当部門に収蔵されている。 柑山義夫名誉教授により新種として報告された トモメヒカリやトビツカエイ等のタイプ標本も保管されている。 底生魚類については、その後も採集と研究が続けられ、標本数も増加している。 また、故岸上鎌吉博士が、 当時としては極めて先駆的なサバ型魚類の比較解剖学的研究を行った際に 作成した詳細な解剖図類の原画や、 先史時代の漁具の研究のもとになった鹿角製の釣り針なども保管されている。
近年では、海外学術調査によりタイ湾内の各地で採集した 底生魚類や無脊椎動物の標本数万点が当部門に保管され、 研究、整理、登録が進められている。 現在、魚類を中心に標本の整理をし、種の同定を行い、 同湾の魚類相についての研究が進行中である。 さらに、同湾内における底生動物の分布のパターンについての研究、 食物を中心とする種間関係についての研究、 さらに生物生産機構の特性についての研究も平行して進められている。 また、世界的な分布パターンの解析や系統関係についての研究に基づく 生物地理学的研究なども、いくつかの魚類群について進行中である。
現在、当部門の標本収蔵スぺースは完全に飽和状態で、 新たに標本を登録整理することが極めて困難になっている。 さらに、大型標本約1000点をやむを得ず屋外の大型水槽に保管している。 これは標本にとって大変危険な状態である。 この中には今後の採集が困難なものも多く、早急に対策をたてる必要がある。
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