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岩石


5 アレンデ炭素質コンドライト


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メキシコ、アイェンデ村
1969年採集
総合研究資料館、鉱山部門

銀河系や太陽系の起源を知る上で重要なこととして、様々の元素がどのくらい含まれているかという問題がある。このことを明らかにするためには、太陽大気の化学組成を調べる方法やいろいろな隕石の平均的化学組成を求める方法がある。いずれも元素分布に偏りはないとの考えですすめられる。

1969年メキシコのアイェンデ村に落下した約2トンもの隕石は、太陽系の起源に関する今までの考えを吹き飛ばしてしまった。アレンデ(アイェンデ)隕石は太陽系の持っている酸素の同位体組成とは異なっていた。これは単純に考えて、太陽系外の物質が混入していたことを示す直接証拠であった。さらに事態は複雑であった。アレンデ隕石中の主要な構成鉱物はかんらん石であり、それは太陽系の同位体組成を持っている。一方、Ca、Alに富む鉱物、ゲーレン石、斜長石、輝石、スピネルなどの鉱物から構成される不規則な白い凝集体の酸素同位体は太陽系のものではなかった。このことから直ちに、原始太陽系に他の星雲が大規模に衝突したことが推定されよう。

展示標本には、かんらん石から主に構成される直径1ミリ程度の球状のコンドリュールと、白い不規則な外形の凝集体が多数見られる。白い凝集体は原始太陽系星雲と衝突した星雲との融合でできた結晶の集合体であり、ホワイトインクルージョンとも呼ばれている。一方、コンドリュールは小さな結晶の集合体が一度融解して液滴となり、急冷して固化したものである。したがって、局所的に相当な高温になったことがわかる。こうしてできた微細な結晶やコンドリュール、ホワイトインクルージョンがその後集合して標本のように隕石となったのである。

(鳥海光弘)


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