東京大学総合博物館が所蔵する遺跡出土人骨のうち、縄文時代のものについては、体系的な登録番号(UMUT番号)を付与した上でカタログ化が行われている(東京大学総合研究博物館標本資料報告第3号『日本縄文時代人骨型録』)。さらにその一部については詳しい遺跡情報、収集経緯、個体情報、参考文献などが出版されており(標本資料報告第52、54、61、69、73号)、その内容は本データベースでも公開されている。
この度、その続編として、1950年代に鎌倉市の材木座遺跡(現在は「由比ガ浜中世集団墓地遺跡」と呼ばれている)で発掘された大量の中世人骨について、データベース化を行った。本遺跡は、東京大学理学部人類学教室の鈴木尚教授によって発見され、当時まったく知られていなかった中世日本人の意外な実像をはじめて知らしめた遺跡として、学史に残る重要遺跡である。
しかし、鈴木による1956年の報告以来(日本人類学会編『鎌倉材木座発見の中世遺跡とその人骨』)、出土人骨の詳しい内容は公開されておらず、そのため本人骨群についての新たな研究は乏しい状態が続いていた。そうした中、この度、キャサリン・ハンプソン氏によってその膨大な出土人骨の体系的整理がなされ、本カタログ情報として公開できたことは、望外の喜びである。並々ならぬハードワークの末にこれを成し遂げた氏の努力に敬意を表し、深く感謝申し上げたい。なお本報告は、報告の執筆者であるキャサリン・ハンプソン氏のほか、近藤修氏、ブラディック和泉氏、平野力也氏、小池暢子氏、福島香織氏、中村凱氏、高木蔵之助氏、佐宗亜衣子氏の貢献もあって実現した。これらの方々にも、厚く御礼申し上げる。
2024年12月
海部陽介