東京大学総合研究博物館 人類先史部門所蔵
『大森介墟古物編』“Shell Mounds of OMORI” 原稿図データベース

佐宗亜衣子・諏訪 元(東京大学総合研究博物館)

はじめに

東京大学総合研究博物館人類先史部門には、「大森介墟編 原稿図」と表題のある約270枚の実測図が収蔵されている。これらは1879(明治12)年にE. S. モースにより東京大学理学部紀要の第一号として出版された、“Shell Mounds of Omori”『大森貝塚』の図版原図である。『大森貝塚』に掲載された全ての図に加え、再実測や不採用などによって未掲載となった図も含まれている。

これらの原図はかつて東京大学理学部人類学教室図書室に収蔵され、背表紙に「モールス氏 大森介墟編(図稿)」と書かれた帙(シツ)に納められていた。その後、理学部生物学科図書室を経て、2005年に本博物館へと移管され、2006年に原図のデジタル化が行われた。このデジタルデータを利用して原図の分析が行われ、研究報告第49号『『大森介墟古物編』実測原図の研究』(田中英司2018)として出版されている。田中(2018)はモースや原図を描いた木村静山の当時の動向を文献資料から読み解き、『大森貝塚』が作成される過程を歴史的背景とともに記述した。そして、原図に残された針穴や基線をもとに実測方法について分析している。

今回は原図269枚、表題1、タトウ17枚、書面1の計288枚(画像数は計297点)の一覧および画像をデータベースとして公開することとした。データベースの各属性情報は基本的に田中(2018)に基づいている。「メモ」欄のモースによる英記述は田中英司および諏訪元、初鹿野博之の判読によるものであり、今回、田中(2018)の表記における様式(語順等)を一部改変した。なお、標本の確認と整理情報化の作業は稲葉佳代子、佐宗亜衣子、諏訪元、田中英司、野口和己子、初鹿野博之が行った。

2018年7月18日

佐宗亜衣子・諏訪 元(東京大学総合研究博物館)

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