前衛芸術としての新聞
アヴァンギャルド運動を支えた稀少紙
32. 不定期刊国際冊子『パスモ(圏)』
アルチュス・チェルニーク+フランティツェック・ハラス+ベジー・ヴァツラーヴェック+ヤロミール・クレイツェル+カレル・タイゲ共同編集
第二号、一九二四年発行
ブルノ、デヴィエトシル出版社
個人蔵 |
Pasmo : La Zone pamphlet international/ Die Zone
internationales flugblatt/The Zone international pamphlet/ La Zona
rivista internazionale Artus Cernik + Frantisek Halas + Bedrich
Vaclavek + Jaromir Krejcar + Karel Teige(Editors) No.2, 1924 Brno,
Edice Devetsil Private Collection 8pp., 475 x 315 |
第一年は通巻一四号十冊のタブロイド版。第二年は通巻一〇号で八冊の大型の四つ折り判で十六頁ないし二十頁。第二年の第五号まで、ヤロミール・クレイツェルとカレル・タイゲが編集に参加している。第一年第一一号以降は「現代国際雑誌」の副題を持つ。チェコ・アヴァンギャルドの中核を担う「デヴィエトスィル・グループ」の第二機関紙に相当する。このグループは一九二三年以降、海外の前衛グループとの連携を深めているが、タイトルやテキストが多言語表記されるようになったことに、それが現れている。タイゲの他に、フランチシェク・ハラス、インジフ・ホンズル、イジー・ヴォルケル、ヴォスコヴェッツ、ヴィーチェスラフ・ネズヴァルなど、同時代のチェコのモダニズム美術家・作家が多く参加している。外国からはバウマイスター、プランポリーニ、ベーネ、テオ・ファン・ドースブルフ、カシャーク、シュヴィッタース、モホイ=ナジ、グロピウス、ヴァルデンらが寄稿している。ハリウッド映画、演劇、建築、音声詩、フランス詩、ダダの自由詩などに関する記事がある。
33.不定期刊演劇・映画・ダンス・音楽雑誌『パスモ(圏)』
アルチュス・チェルニーク+フランティツェック・ハラス+ベジー・ヴァツラーヴェック+ヤロミール・クレイツェル+カレル・タイゲ共同編集
第五・六合併号、一九二四年発行
ブルノ、デヴィエトシル出版社
個人蔵 |
Pasmo : la zone die zone the zone la zona : theatre cine danse
musique Artus Cernik + Frantisek Halas + Bedrich Vaclavek +
Artus Cernik + Jaromir Krejcar + Karel Teige(Editors) Nos.5/6, 1924
Brno, Edice Devetsil Private Collection 12pp., 475 x 315
|
ミュージック・ホール、アメリカ映画、社会主義映画、サーカス、ダンス、演劇、建築など、生活と芸術の共生態を目指したデヴィエトシル・グループならではの関心の広さである。
34.不定期刊現代文学紙『パスモ(圏)』シーマ特集号
アルチュス・チェルニーク+フランティツェック・ハラス+ベジー・ヴァツラーヴェック+ヤロミール・クレイツェル+サイフェルト+カレル・タイゲ共同編集
第九号、一九二五年発行 ブルノ、デヴィエトシル出版社
個人蔵 |
Pasmo : Moderni Letak "Sima" Artus Cernik + Bedrich Vaclavek
+ Jaromir Krejcar + Seifert + Karel Teige(Editors) No.9, 1925 Brno,
Edice Devetsil Private Collection 6pp., 475 x 315 |
後にパリに出てシュルレアリスム運動に参加する画家シーマの特集号。タイゲとネズヴァルなどチェコのメンバーの他、アメデ・オザンファン、イリヤ・エレンブルク、ジョルジュ・リブモン=デセーニョ、モホイ=ナジ・ラースロー、アドルフ・ベーネなど外国からの寄稿も多い。デヴィエトシル・グループの謳った「ピクチャー・ポエム(絵画詩)」が実践されている。
35.デヴィエトシル(チェルニーク)編国際現代雑誌『パスモ(圏)』
アルチュス・チェルニーク+フランティツェック・ハラス+ベジー・ヴァツラーヴェック+ヤロミール・クレイツェル+カレル・タイゲ共同編集
第一一・一二合併号、一九二五年四月発行
ブルノ、デヴィエトシル出版社
個人蔵 |
Pasmo : Revue internationale moderne Edition : Devetsil(A. Cernik)
Artus Cernik + Frantisek Halas + Bedrich Vaclavek + Jaromir Krejcar
+ Karel Teige(Editors) Nos.11/12, April 1925 Brno, Edice Devetsil
Private Collection 10pp., 475 x 315 |
本号はベルリンで『デア・シュトゥルム(嵐)』紙を主宰したヘルヴァルト・ヴァルデンが特集されており、アクグスト・シュトラム、モホイ=ナジ・ラースロー、ヴィリ・バウマイスター、クルト・シュヴィッタースなど、ヴァルデンの支援した詩人や芸術家が紹介されている。
36.月刊文学芸術批評紙『ロツプラヴィ・アヴェンティナ(アヴェンティヌム論叢)』
オタカル=シュトーホ・マリエン+パウリーク共同編集
第九巻八号、一九三四年発行
プラハ、アヴェンティヌム書店
個人蔵 |
Rozpravy Aventina : Ctrnactidenik pro Literaturu, Umeni a
Kritiku Otakar Storch-Marien + J.J. Paulik(Editors) No.8, 19th Vol.,
18 ledna 1934 Praha, Aventinum Private Collection 4pp., 448 x 307 |
最初の三年間は年に二十冊のペースで刊行されていたが、第四年目から年四十冊となり第九年目の一九三四年まで刊行が続いた。オタカル・シュトルフ=マリエンの編集になる。ただし、パウリークが編集に参加した最後の年には、第一五号までしか出なかったようである。タブロイド版で四頁。文学、美術、批評、建築を取り上げた図版入り稀少文芸新聞として知られる。シーマ、カレル・タイゲ、ヴィーチェスラフ・ネズヴァル、アヴェンティヌム書店の経営者であるオタカル・シュトルフ=マリエン、ボフミル・マテジウス、オタカル・ムルクヴィチカ、カレル・ホンズィーク、フランチシェク・ムズィカ、ミロスラフ・ルッテなど、チェコの前衛運動家のほとんどが参加している。第五年にはアドルフ・ホフマイステルがその年に手掛けたカバー・イラストが四十点ほどカラー図版で紹介されている。
前頁へ|表紙に戻る|次頁へ
|