第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

 

条鰭魚綱 Actinopterygii [42目]

軟質亜綱 Chondrostei [2目]

ポリプテルス目 Polypteriformes [ 1科 2属約 10種]

 体は菱形の硬鱗に覆われる。背鰭は 5-18 個の小さい鰭からなる。それぞれの鰭は 1本の棘と 2本以上の軟条からなる。幼魚は外鰓をもつ。左右 2室に分かれている鰾は、空気呼吸器官としての役割も果 たしている。夜行性で、肉食。最古の化石は白亜紀後期のものである。
 ポリプテルス科 Polypteridae のみからなる。アフリカの淡水域に分布。

 

チョウザメ目 Acipenseriformes [ 2科 属 26種 ]( 図 9)

 体形はサメ類に類似する。鰾は大きく、空気呼吸にも利用されている。最古の化石は三畳紀の地層から発見されたものである。 チョウザメ科 Acipenseridae(24種) の体には 5列の大きな菱形の硬鱗が並んでいる。
チョウザメ Acipenser medirotris は、かつては石狩川や天塩川 にも春頃産卵のために遡上したが、現在では日本の河川で産卵するものは絶滅したと考えられている。

 

新鰭亜綱 Neopterygii [ 40目]

ガ一目 Semionotiformes [ 1科 2属 7種]

 現生種はすべてガ一目Lepisosteidae に含まれる。体は細長く、丈夫な菱形の硬鱗が石畳状にきちんと並ぷ。顎は上下とも前方に長く突出する。歯の大きさは大小様々であるが、針のように鋭い。背鰭は体の後方にある。内部が不完全に 2室に分かれている鰾は、空気呼吸器官としての役割も果たしている。浅くて水草の多いところにすみ、カニ類や小魚などを摂食。 3m になる種もいる。東部北アメリカ・中央アメリカ・キューパの淡水域、ときに汽水域、まれに海水域に 生息する。
最古の化石はペルム紀後期の地層から発見されている。化石記録から、中生代から新生代の始新世までは世界中に広く分布してい たことが明らかになっている。

 

アミア目 Amiiformes [ 1科 1属 1種]

 体形はタイワンドジョウ Channa maculata やカムルチー C.argus ( スズキ目 Perciformes タイワンドジョウ亜目 Channoidei タイワンドジョウ科 Channidae) に類似する。化石として発見されるものには硬鱗で体が覆われているものが多いが、唯一の現生種であるアミア科 Amiidae のアミア Amia calva の体は薄い円鱗で覆われている。背鰭の基底は長く、これを波打たせるように泳ぐ。口は犬きく、歯も大きくて鋭い。内部が不完全に 2室に分かれている鰾は、空気呼吸にも使用されている。 1m 近くまでになる。夜行性で、小魚・カエル・ザリガニなどを捕食。東部北アメリカの淡水域に生息する。
 最古の化石は三畳紀後期のものである。化石記録から、中生代には世界中の川・湖沼・浅海に広く分布していたことが明らかにされている。

 

ア口ワナ目 Osteoglossiformes [ 2亜目 6科約 29属約 217種]

 ふつう副蝶形骨の腹面と舌の骨の背面に歯が発達する。これらは摂食に関与している。淡水域に生息するが、ナギナタナマズ科 Notopteridae には汽水域にも入るものもいる。最古の化石はジュラ 紀後期のものである。

 

ア口ワナ亜目 Osteoglossoidei [2科 5属 8種]

 南アメリカのアマゾン川などに生息するピラルクー Arapaima gigas( アロワナ科 Osteoglossidae) は世界最大級の淡水魚で、全長 2.5m にもなる。ア口ワナ科魚類は環熱帯の淡水域に分布する。
ピラルクーやバタフライフィッシュ Pantodon buchholzi( パントドン科 Pantodontidae の唯一の種で西部アフリカの熱帯の淡水域に生息) などの鰾は空気呼吸にも使われている。

 

ナギナタナマズ亜目 Notoptefoldei [4科約 24属約 209種]

 特異な体形の魚を多く含む。ナギナタナマズ科魚類 (8種、アフリカ から東南アジアの淡水域、ときに汽水域) と Gymnarchus niloticus ( ギュムナルクス科 Gymnarchidae の唯一の種、アフリカの熱帯の淡水域とナイル川 ) では、鰾が空気呼吸器官の役割も果たしている。 モルミュルス科 Mormyridae は最も多様化したグループで、約 200種が報告されている。吻がゾウの鼻のように伸長することが特徴。 Elephantfishes の由来である。アフリカの熱帯の淡水域とナイル川に生息。
いくつかのモルミュルス類と Gymnarchus niloticus は、尾部に発電器官をもち、弱い電流を発生させることができる。これは、ほかの発電魚のように餌生物にショックを与えるのではなく、警戒システムやコ ミュニケーションの手段として使われているらしい。

 

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