第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 


 軟骨魚網 Chondrichthyes [10目]

 全頭亜綱 Hobeephall [1目]

 ギンザメ目 Chimaeriformes [3科6属約 31種]

 背鰭は 2基。基底の短い第 1背鰭の前縁には 1棘があって、鰭全体を立てることができる。基底の長い第 2背鰭は立てることができない。口は頭部の下面に開く。雄には、腹鰭の内側が変化した交尾器がある。卵は大きく、棘のある殻に入って産み出される。 デボン紀後期の地層から最古の化石が発見されている。
  深海性。日本周辺にも 9 種が分布している。

 板鰻亜網目 asmobranchii[9目]

 ネコザメ目 Heterodor1tiformes [1科 1属 8種] (図 4)

 体は円筒形で、頭部は太くて短い。背鰭は 2基で、それぞれの前縁に 1棘を備える。臀鰭がある。卵生。鰓孔は 5対。鼻孔と口は深い溝によって連なっている。ネコザメ科 Heterodonitidae のみからなる。すべて海産で、底生性。最古の化石はジュラ紀前期から。

 テンジクザメ目 Orectolobiformes [7科 14属 31種]

 背鰭は 2基で、棘はない。臀鰭がある。鰓孔は 5対。すべて海産で、ジンベエザメ Rhincodon typus を除いて底生性。 このグループには様々な形のサメが含まれる。最古の化石はジュラ紀前期のものである。
  ジンベ・エザメ科 Rhincodontidae は世界最大の魚であるジンベエザメのみからなる。この魚の口は頭部の先端にあって、著しく大きい。 鰓孔も非常に大きい。歯は大変小さくて、プランクトン・小魚・イカ類を摂食。全長 13.7m 、体重 12t にもなる。

 メジロザメ目 Caretyarhiniformes[7科 47属約 208種]

 背鰭は 2基で、棘はない。臀鰭はある。鰓孔は 5対。眼には 瞬膜や瞬皺がある。卵生と胎生がある。サメ類の中で最大のグループで、サメ類の半分以上の種が含まれる。ほとんどの種が海産であるが、まれに淡水域に生息するものもいる。最古の化石はジュラ紀中期の地層から発見されている。
  トラザメ科 Scyliorhinidae(約 96種) 、メジロザメ科 Carcharhinidae( 約 58種) およびドチザ メ科 Triakidae(39種) が多数の種を含む。

 ネズミザメ目 Lamniformes [7科 10属 16種]

  背鰭は 2基で、棘はない。臀鰭はある。鰓孔は 5対。口は大きくて、眼のかなり後方まで伸びる。この仲間は大型になり、主に外洋の表層で生活している。ほとんどの種が日本近海に現れる。 最古の化石はジュラ紀の地層からのものである。
  この目を代表するネズミザメ科 Lamnidae 魚類 (5種) は、細長い胸鰭、三角形の尾鰭、数はやや少ないが大きい歯をもつことなどが特徴である。この科にはホオジロザメ Carcharodon carcharias・ アオザメ Isurus oxyrinchus など危険なサメが含まれる。 これらのサメは体が重く、静止状態では沈む。このため、高速遊泳し、胸鰭を翼にして動的揚力を得ている。

 カグラザメ目 Hexanchiformes [2科 4属 5種]

 このグループは背鰭が 1基しかないことで、ほかのサメ類と容易に区別できる。背鰭に棘はない。臀鰭がある。鰓孔は 6- 7 対。深海底に生息する。すべての種が日本近海に出現する。最古の化石はジュラ紀前期のものである。
  ラブカ科 Chlamydoselachidae はラブカ Clamydoselachus anguineus のみからなる。非常に特異なサメで、体は縦扁し、 口は頭部の先端にあり、歯は 3棘からなる。ラブカは世界各地から知られているが、その化石も自亜紀後期以降の地層から発見されている。ふつう 1000m ぐらいまでの深海域に生息しているが、表層近くにも現れる。

 ツノザメ目 Squaliformes [4科 23属約 74種]

 背鰭は 2基で、それぞれ前縁に 1棘を備えるものと備えないものがある。臀鰭はない。鰓孔は 5対。すべて海産で、多くの種が深海性。 アイザメ科 Centrophoridae には水深 6000 m 以上の深海 から報告されている種もある。肝臓が大きいのも特徴。最古の化石はジュラ紀後期の地層からのものである。
  ヨロイザメ科 Dalatiidae( 約 49種) が最も大きい科で、世界 中に広く分布する。

 カスザメ目 Squatiniformes[1科 1属 12種 ]( 図 5)

 体はエイ類に似る。胸鰭が大きい。背鰭は 2基で、棘はない。 臀鰭はない。鰓孔は 5対。口はほぼ体の前端にある。鼻孔も体の前端にあって、その前縁に鬚がある。眼は背側にある。浅海底で生活している。最古の化石はジュラ紀後期の地層から発見さ れている。
  カスザメ科 Squatinidae のみからなり、大西洋・インド洋南西部・太平洋の温帯から熱帯海域に分布。日本近海には 2種が生息している。

 ノコギリザメ目 Pfistiophoriformes [1科 2属 5種]

 吻は長くて平たく、左右両側に歯列がある。この歯の大きさは一様ではなく、大小の歯が交互に並んでいる。吻の中部下面に長い鬚が左右 1対ある。背鰭は 2基で、棘はない。臀鰭はない。鰓孔は 5-7 対。浅海底で生活している。最古の化石は白亜紀後期の地層から発見されている。
  長い吻にある鬚は砂中の小動物を探すために使っている。 ノ コギリザメ科 Pristiophoridae のみからなる。西部大西洋・インド洋南西部・西部太平洋に分布するが、まれに河口域にもいる。

 工イ目 Raliformes [ 4亜目 12科 62属約 456種]

 体は縦扁している。鰓孔は 5対 ( まれに 6対) で、腹側にある。 大きな胸鰭は腹鰭とともに体盤を形成する。臀鰭はない。眼目は背側にある。歯は敷石状。底生性だけでなく、表・中層遊泳性のものもいる。ほとんどが海産であるが、淡水域に生息する種もいる。最古の化石はジュラ紀後期のものである。

 ノコギリエイ亜目 Pristoldei [ 1科 2属 6種]

 吻は著しく突出し、鋸状。左右両側にある鋭い歯状突起(鋸歯に大きさは等しい。ノコギリザメ目魚類によく似るが、吻に鬚はない。 ノコギリヱイ科 Pristidae のみからなる。

 シピレエイ亜目 Torpedimidei [2科 11属約 38種]( 図 6)

 頭部には鰓の筋肉に由来する強力な発電器官がある。度膚は柔らかい。

 ガンギエイ亜目 Rajoidei [ 3科 27属約 251種]

 板鰓類の中で最大のグループである。サメ類とエイ類の中間的な体形をしたもの( シノノメサカタザメ科 Rhinidae とサカタザメ科 Rhinobaudae) とエイ類の体形をしたもの ( ガンギエイ科 Raildae) が含まれる。
 ガンギエイ科魚類は全海洋に分布し、 200種以上が知られている。

 トビエイ亜目 Myliobatoldei [ 6科 23属 158種]

 多くの種では、尾部は細長く、むち状で、付け根に毒棘がある アカエイ科 Dasyatidae が最大で、約 70種を含んでいる。

 

 

前頁へ表紙に戻る次頁へ


Copyright 2004 The University Museum, The University of Tokyo