第2部 展示解説 動物界 軟体動物の分類と系統関係 腹足綱 (Class Gastropoda)
直腹足亜網 (Subclass orthogastropoda): Apogastropoda: 異鰓上目
異旋類 (Heterostropha=Allogastropoda): 最も原始的な異鰓類考えられている。多くは海産であるが、一部に淡水産のグループを含む。 異旋類に共通する特徴は、 (1) 螺旋状の殻をもつ。 (2) ふたをもつ。 (3) 神経系に「ねじれ」がみられる。 (4) 外套腔がよく発達し、 繊毛帯が発達する。 (5) 頭部触角が存在する、などである。しかし、これらは腹足類の中では原始的な特徴である。従って、異旋類は原始的な形質 によって定義 されるグループであるため、単系統ではなく、側系統の可能性が高いと考えられている。 異旋類は 5上科に分類されている。ミズシタダミ上科 Valvatoidea は平巻に近い殻をもっている 。ミズシタダミ科 Valvatidae( 図 27A) は淡水に生息する平巻の貝である。 ミジンハグルマガイ科 Orbitestellidae とカクメイ科 Cornirostridae もやはり平巻で、あるが、 海産である。クル マガイ上科 Architectonicoideal は 2科に分類されている。 タクミニナ科 Mathildidae( 図 28A) は背が高く、クルマガイ科 Architectonicidae( 図 27B) は平巻である。クルマガイ 科の中には螺層がはずれる種も見られる。 2つ科の殻の形は大きく異なるが、幼生の殻は類似している。ガラスツボ上科 Rissoelloidea のガラスツボ科 Rissoellidae は透き通ったガラスのような殻をもつ。 ミジンワダチガイ上科 Omalogyroidea のミジンワダチガイ科 Omalogyridae ( 図 27C) は、平巻のアンモナイトのような殻をもつ。すべての種が最大で、殻径 0.6mm 程度の大きさで、成貝として世界最小の貝類である。トウガタガイ上科 Pyramidelloideal は 5つの科に分類されている。細長い塔型の貝が多い。最も代表的な科はトウガタガイ科 Pyramidellidae ( 図 28B-C) である。イソチドリガイ科 AIIlathinidae( 図 27D) はかつてはヒゲマキナワボラ科に置かれていたが、動物体の構造からトウガタガイ科に近縁で、あることが明らかになった。異旋類では例外的に笠型 の殻をもつ種である。二枚貝類に寄生して体液を吸う。
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