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リアルバーチャリティ

宇野 求 + フェイズ アソシエイツ
千葉大学宇野研究室


リアルバーチャリティリアルバーチャリティ
リアルバーチャリティリアルバーチャリティ
アーキテクトの頭脳に発生したパルスがイメージとなり、コミュニケーションのメディアを介しながら人々の意識の間を駆け巡り、しだいに外在化していく。アーキテクチャーとは、本来的に、構造化された情報のことだ。現実が虚構のように見える時があるのはそのためで、現実とは想像力が生みだした虚構であるということもできる。であるならば、現実を動かし変えていくのは想像力——イメージの力にほかならない。急速に発達している電子メディアのテクノロジーは、人と人の頭脳に発生するイメージをリンクして

人工物/自然

塊(マッス)/空隙(ヴォイド)

オブジェクト/インフォメーション

現実/虚構

といった2項関係の共存する新しい環境イメージに視点と構図と力を与えていくように思われる。

こうした認識を背景として創作した提案が[J-アーカイヴ]プロジェクトである。それは、いままでに類例のないまったく新しいタイプの図書館の構想であり、先端のテクノロジーによってはじめて可能な高度に情報化/環境化された分散タイプの建築群を提案するものである。私たちは情報テクノロジーと自然の共存する新しい景観を生みだそうと考えた。

[J-アーカイヴ]

実体空間とサイバー・スペースの混淆

物理的な図書の恒久大規模保存を基本機能にもつ書庫は、実体のある巨大な倉庫であり学術、研究、文化、歴史のアーカイブ(記憶庫)である。私たちは、情報化が進めば進むほど、実体のある人と本、人と人の直接的なコンタクト、人と本と環境をめぐる実体的な交感の重要性が増していくと考えている。建築は現実空間とサイバースペースの混淆を象徴していて、そうした構成の施設内での人の動きは空間的に視覚化された。コンピューターの発達によって情報の空間的構造は、一元的/集中的/固定的から多元的/分散的/流動的へと変化している。ここで採用される建築タイプも求心的な構造のものではなく、個別の部分空間を重視する分散配置タイプがふさわしいと考えた。情報時代のネットワークプランニングを前提として、館内には諸活動をサポートし、様々なサービスを円滑に進めるための情報インフラストラクチャーが随所に整備されている。

空間的な図と地

丘の上にパラレルに配置される2棟の建築はコンピューターによってネットワークキングされたスペースが相互浸透し呼応関係をもっている。空間的な図と地が反転している2棟の建築を並べることによって、シンプルな構成の中にバラエティーに富んだ内外の空間が生みだされる。ヴォイドの中のマッス、マッスの中のヴォイド、その内外を流れ動く人、本、情報。この建築の構成は現実の空間とサイバースペースの相互浸透をシンボライズしている。


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