第2部
展示解説

動物界

REGNUM ANIMALE

 

 

軟体動物 部門紹介

 

地史古生物部門

 地史古生物部門には、様々な生物の化石標本と堆積物の試料が収蔵されている。化石標本の多くは、戦前の地質学教室から受け継がれてきたコレクションを基礎として集められたものである。最も古い標本では、地質学教室初代教授のナウマン博士が1881年に記載した象化石が現存する。明治初期に教育標本としてドイツから購入された「クランツ標本」は、現在も良好な状態で保管され、実習用標本として現役で活躍している。教室用標本の中には東京大学の前身であった開成学校の標本も含まれており、歴史的な価値が高い。

 論文として出版された登録済みの化石標本は2万点以上に及び、特にタイプ標本の数が多い。タイプ標本の点数では国内で最大の古生物のコレクションである。グループ別では、貝類、アンモナイト類などの軟体動物が多く、その他に腕足動物、ウミユリ類、貝形虫類、三葉虫、魚類、哺乳類など多様な分類群を含んでいる。その多くは、横山又次郎教授、小林貞一教授をはじめとする歴代の地質学教室の教官とその門下生によって研究され蓄積された標本である。さらに現在では学外からも標本登録の要請を受けている。

 古生物関連の文献コレクションにも重要なものが含まれている。文献コレクションは小林貞一教授の寄贈図書を核として構築されたもので、古今東西の重要文献を網羅している。特に19世紀に出版された浩瀚なモノグラムは今となっては入手困難なものが多い。

 化石や堆積物の多くは地層中に埋もれており、地表に近い限られた部分でしか標本を採取することができない。さらに、運良く地表に露出した有望な産地も開発や侵食により急速に失われるため、その標本は二度と入手できない貴重なものになる。地史古生物部門には1世紀以上にわたって蓄積され続けてきた貴重な標本が収蔵されている。

 

 

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