− 越塚 登 −
デジタルミュージアムのネットワークシステムは、収蔵資料のデジタルアーカイブ作業を行うマルチメディセンター、アーカイブを蓄積するデータベースセンター、インターネットを使った仮想展示、実展示を行う博物館内展示場といったミュージアム全体を接続している。マルチメディアセンターでは、主に画像や動画、立体データなど、各種のデータ入力が行われ、そのデータは、データベースセンターに送られ、巨大なマルチメディアデータベースに格納される。このデータを利用して、インターネット上のWWWやMUDによる分散仮想展示が構築される。更に、展示空間でのコンピュータを用いた様々な情報提供システムに対しても、このデータベースからデータがネットワークを通じて供給される。
こうした館内ネットワークには、ローカルエリアネットワーク(LAN)が利用され、基幹部分には、ATMやギガビットイーサーネットといった、数百メガbps〜1Gbps程度の高帯域LANを用いる。末端の各機器や展示装置などは、Fast Ethernetといった100Mbps程度の中帯域のLANを用いてる。また展示場には、数Mbps程度の帯域をもった無線LANやそれがカバーしきれない領域には構内PHSを使った無線通信を設置し、PDAなどのモバイル端末との通信手段を提供している。
それぞれが自律している複数のデジタルミュージアムを接続した分散博物館では、デジタルミュージアムネットワークが、複数の博物館のデジタルミュージアムネットワークを相互接続する。まさに、インターミュージアムネットワークである。これによって、互いに接続された複数の博物館がデジタルアーカイブを相互にやりとりし、博物館の壁を超越したインターミュージアムをコンピュータネットワーク上に構築することができるのである。
図1 分散博物館ネットワーク