歌舞伎新報 第二号
(外国人から贈られた引幕)
東京にいる外国人が守田氏が持つ芝居小屋・新富座へ、以前に招待された礼として華麗な引幕を贈ったという話。
『歌舞伎新報』は明治十二年(一八七九)二月に創刊された歌舞伎専門雑誌で、この新聞錦絵はその宣伝版だと思われる。
歌舞伎新報 第二号
諸新聞でも噂の有外国人から新富座へ送つ/た幕ハ地が紫の絹で松竹梅の丸の中へ差渡/六尺有かたばみの紋が三所色糸の縫でいつ/もの宛名の所へ守田氏と白糸で縫た書ハ市/川万庵先生が書れたので巾が四布程あり升/下に在東京外国人中と有て實に目覚しい立/派な物其外に横濱の蘭人中から送つた天幕/ハ地が萌黄色の輪こに天鳥で真中ハ座元の紋/左右ハ古代模様の内から竺仙さんが見だし/たと云かたばみ草の様な風流な紋を金糸と/いろ糸で縫出て真富座長守田氏へ在横濱蘭/国人中よりの文字を横に双べて左右へ割て/白糸縫にした眼を驚かす程の物で有升扨引/幕へ添て来た手紙の訳大略ハ去明治十一年/六月該座再造開業の節在東京外国人を御招/待且御厚遇下され其寸報迄に引幕一張を呈/上するよし右任人のエー、ゼー、エス、ボールス。ヘンリー、/ホン、シーボルト。トマス、マツクラチ。の三人より書き送り/たり誠に該座の光栄面目ともいふべし
新富座場割ハ本読の日遽に変り一番目ハ四幕に詰め二番目/を加ることに定り中幕の勧進帳も半四郎の役(義経)が家橘になる |