郵便報知新聞 第五百七十一号
東京大学法学部附属明治新聞雑誌文庫蔵
(遊び代を踏み倒した外国人)
長崎外国人寄留地の外国人を相手にした私娼が、代金を払わなかった客の落とし物である金時計を代わりにせしめたところ、領事館に訴えられ窃盗罪になったという話。絵は娼婦を足蹴にする外国人の理不尽な振る舞いを描いている。
郵便報知新聞 第五百七十一号
所替れば品かはる東京にての引張ハ長崎/にて縮緬にて昔ハかかる業を羞頭巾まぶ/かく被りしよりよもや此等の事ハあらじ/と一名ブラックよもやと呼做す一個のブラックよもや長崎な/る外国居留地あたり黄昏過て彳めバ/何れの国の人なりけん云寄しかバ傍なる/恠しの家に誘ひ入雲夢巫山の事済て/価も与へず逃去たり跡にブラックよもやハ腹立しく/火影にあたりを見廻たるに金時計の落し/あれバ是幸と持帰る然に彼外人ハ/明白には云ずして領事館に失ひし由訴へ/けれバ賎婦は窃盗の科に落懲役に処/せられしとぞいかに外国人なればとて金がハ/時計持人が箇様な行状ハあるまじと/思ふブラックよもやの油断ならん |