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[新聞錦絵の情報社会]


大阪錦画新聞 第三十四号

(狩猟中の外国人が子供を誤射)
堺の浜で起きた誤射事件である。どこの国の異人かは不明であるが、ひげを生やし銃を持つ西洋人と血を流して倒れる子供の姿に、人々は開国の実態を感じ取ったであろう。

大阪錦画新聞 第三十四号

明治八年第二月和泉国堺の濱にて或る異人/猟鉋を携へ小鳥を獲んとかなたこなた/の森木末をさぐりしに一ツの小鳥をねらひ寄/り火蓋を切て放せしに思ふ圖はづれ人の子を/うち誤りし大騒ぎと/なり焼野の雉子ひな/鳥を失ふ親ハ/うば玉の闇と/嘆きが明るう/なつて異人へ罰金數百円/申付られたり

大阪錦画新聞 第三十四号
図138

大阪新聞錦画 第六号

(孝行娘が外国人の妾になるのを断る)
外国人の妾になった女性を卑しめて洋妾(らしゃめん)と呼んだが、これはそうならなかった娘を讃えたものである。

大阪新聞錦画 第六号

下谷仲御徒町四丁目/住料理人六兵エハ子供が/三人あり親子いたつて睦しく暮して居れど/近頃ハチト献立が間違てすゝみ兼たる飯ト汁/病気の床の看病を娘二人か深切な世話のかひさへ/なくなりて又母おやが病につき二汁五菜の難じうは/ドウ精進の種もなくわずかな稼ぎを身に/引受医者よ薬と辛/き目ハ少しもいとはぬ/孝行娘を東校御雇/外国人がふいと見そめて妾にせんと月に/三十円ヅゝ身の代を遣るといへども中々に否とばかりで/承知せずいかに零落たればとて外国人に見ゆべきと断りました/心の潔白彼やうに心がけ有たい物と読売百十号を見て賞ス

大阪新聞錦画 第六号
図139

勧善懲悪錦画新聞 第十六号
図140

勧善懲悪錦画新聞 第十六号

(困窮した女に外国人が銀を恵む)
神戸の居留地にいた英国人であろう。帽子にステッキ、白いズボンに上着というのが当時の西洋人男性の一般的ないでたちとして受けとめられていたらしい。

勧善懲悪錦画新聞 第十六号

去る五月十九日の夜或る英人/神戸四の宮辺を通りかかりしに/木かげに婦人の涕泣悲歎/有様英人見かねて立より/何事にやと尋ぬれども言語不通/なれバ始末わからずされども困苦に/せまりて身をも捨んとする形勢おのづから通/ぜしにやそぞろに気のとくに思体にて洋銀一枚を/とりだし是を恵ミ明朝わが館へ来るべし舎内にハ日本人もあまた有バ/なを委しく様子を聞とりて助成のしかたもあらんと懇にいひて立別れけり/翌朝カノ婦人をしへのままに英人が館舎に尋ね来りて日本人につきて/前夜の/恵ミを謝し/なを委細の様子を/問ハれていふ様ハわらハもと/横濱にて豆腐屋の娘お梅といふ者なるが夫に随ひて當港へ/来たりしに不仕合うちつづき終に夫におき去りにされ夫の行へを/尋ぬれどもめぐりあハず横浜に帰らんと思へども今ハ一銭のたくハへなけれバいかんとも詮かた/なく死ぬより外なしと覚悟きハめし折から異人様のお恵ミにて地獄で佛とうれしさのお礼に/まいりましたといふに英人そのよしを聞なをさらあハれミさらバ故郷へ送り帰しとらせんとミつから/舩切手を買来り金一円を添へて婦人にあたへ横濱へ送り帰せしとぞ縁もゆかりもなき/ものをかく迄に深切に世話する英人のこころざし実にかんずるにあまりあり希ハくバかかる困/窮のものハ英人の助けによらず区戸長の注意にて送り帰したきもの也と或人いへり


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