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[かわら版の情報社会]


ばかとりかうの取組

馬鹿と利口の対比という、これも直接的な取り組の見立番付である。馬鹿の方の起きていて良し悪し知らぬ人とか、惚れられたと思って金を遣う息子など耳が痛い。

図57 ばかとりかうの取組
図57

ばかとりかうの取組

江戸八丁堀との見横丁
京屋宗兵衛板
{上段}利口ノ方
大関 ねていても工風をする職人
関脇 諸人にあいそうのよひ商人
小結 どうらくの子を一通りニ勘当せぬおや
前頭 色男にほれぬ女郎衆
前頭 人のてうちんをまちてあとから付て行人
前頭 せたいを女房に頼む茶やのていし
前頭 色男でせたいを持ている男
前頭 人をおさきに遣ふ人
前頭 色をしかけて金をもふける女
前頭 田舎からきて金持ニなる
前頭 おやたちに相談してと云ぬけるむすこ
前頭 人の金をまハしてたた金もふける人
前頭 人を頼んてなさせる
前頭 壱にの銭てこどもをたますおや
前頭 客の気に入て倩出るる女郎衆
前頭 評判細見て吉原の咄をまに合すむすこ
前頭 ほうさまをたます茶や娘
前頭 ていしをみきる女房
前頭 しよじ人に半合する人
{下段}馬鹿の方
大関 おきていなからよしあししらぬ人
関脇 心よしの目なしかし
小結 おやのいけんをきかぬ娘め
前頭 しんぞうにたまされるおやし
前頭 近道を行とてふの違う人
前頭 ほれられたとおもふて金を遣うむすこ
前頭 女湯をそとからのぞいているおとこ
前頭 にさいすきなごけいんきよ
前頭 人のお先ニつかわれる男
前頭 人の女房と色事のふりするおとこ
前頭 江戸て生れて宿なしニなる者
前頭 子供同しの喧嘩ニあつくなるおや
前頭 かけぐひにはらをそこのふ人
前頭 車ひきをてつたつてやる人
前頭 我女房をほめてあるくていし
前頭 客をかつて裸になる女郎衆
前頭 年明ヶ女郎のおや元を州尋ねて行客人
前頭 坊様にだまされるばアさま
前頭 まつりに出てせたいしまらぬおとこ
前頭 知つたふうて物ことしそこのふ人
行司 たのしみをしなから
   金もふけする人 
勧進元 くるしみをして
    金をなくする人

 

■な物つくし(迷惑なものとおもしろくない物のとり組)

見立番付の対比の面白さが、この番付では反対のものではなく、どちらがよりひどいかという、なんとも後味の悪いものである。しかし、その悪さを競そわせたのが、この番付の最大の趣向なのであろう。

図58 ■な物つくし
図58

■な物尽し(迷惑なものとおもしろくない物のとり組)

{東の方}東之方 {東の方}西之方
大関 女郎かいのかへりおやちが戸をあけ
てくれるの
大関 ゐとをほつている人のうへてちしん
のうわさするの
関脇 ミへのあるきやくかいるのに女ほう
のどさことば
関脇 こんれいのさしきとなりてまくら
ねんぶつとなへるの
小結 一すじ道のむこふからおおかミの
くるの
小結 小結 仲の丁て きたな■かじ
きをするの
前頭 ふミづかいのいるところへひなしのさ
いそくにきたの
前頭 いろのあるむすこによめをすす
めるふたおや
前頭 らいびようのきやく人が女郎かいに
きたの
前頭 ■しのてたさいちうにニハ
とりのきたの
前頭 まおとこのさいちうへていしゆかも
とつてきたの
前頭 川とめにあつてゐるのにまた
あめがふるの
前頭 かやへさわるとそこでかがわんわん
となくの
前頭 つたの上るりをつきやいてき
いているの
前頭 川のミつくんだあとで川なかれの
うわざきくの
前頭 いやでならないとしま女のひつ
つこくするの
{後略}

おもしろいものと
おもしろくない物とり組

典型的な見立番付で、東はおもしろいもの、対する西はおもしろくないものという取り合わせ。面白い・面白くないという対比も直接的だが、例えば、向島の花盛りはおもしろく、信州の地震は面白くないなど解りやすいものが多く、現在でも楽しめる。

図59 おもしろいものとおもしろくない物とり組
図59

おもしろいものとおもしろくない物とり組

為御覧
行司
芝居けんぶつ
へたな釈しやく
頭取
吉原かよひ
親のいけん
勧進元 金のもうかる咄シ
差添 借せんのさいそく
{東の方}
大関 さかりだ向嶋の花盛
関脇 のろいねもてた客人
小結 おもしろい両國のすずみ
前頭 いや□だ吉原のにハか
前頭 ■■し浅草の地内
前頭 近いが目だつはやる商人
前頭 金銭をつかふ人
同  祭りへでる子供
同  身に入てしょう將ぎ指
同  はい徊のひらき
同  いい銭に成しごと
同  江の島の道連
同  一盃きげんであるく
前頭 いい娘のゑんだん
同  つんぼう同しの咄し
同  あんまのけんくハ
同  あすか山でかわらけ
同  大かぐらのおかめ
同  豆蔵のたわむれ
同  やましのはなし
同  すすはきのかほ
同  われがとつた道
同  上手のやく払 
{西の方}
大関 一ツもなし信州の地震
関脇 油だんならずかみなりの音
小結 咄もできぬ初夢の唐なす
前頭 まてバ長しわたし舩の馬
前頭 覚悟原中の夕だち
前頭 おそれた人込のこやし桶
前頭 婦夫けんくハ
同  まけせうぎ
同  ばかばやしの涼
同  迷ひ子の太こ
同  ひるの堤ちん
同  津りの風
同  はら立上戸
前頭 中なをりのさけ
同  ひけすぎのきやく
同  はんしやうの音
同  どらもののむしん
同  うたがるたのげじ
同  ひざかりに長持
同  川どめ
同  ゐん判のまちがい
同  のわけ道のへび
同  子どものきう

{枠外右}おもしろいものとおもしろくない物とり組

 

むすめ評判記 二編

図60 むすめ評判記 二編
図60

江戸各町内の評判娘の名前と歳が列記されている。これが二編だから、先行する一編もあったろうし、最後に漏れた人に対して三編・四編を引き続き出版の予告がなされている。これは、評判を取材したものではなく、おそらく親から金を出させ、名前を載せているのであろう。娘の株を上げてやろうとする親心を利用した商売ではなかろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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