[The University Museum]

音声処理


音声会話システム

日常生活では、会話はごく自然なコミュニケーション手段である。 しかし、日常会話にたる音声をデジタルで伝えるということは、 なかなか難しい技術である。 まず、高速なネットワークが必要であり、さらには、 音声を交換する高速なコンピュータが必要である。 したがって、ネットワークコミュニティでよく使われる会話形式は キーボードを使ったいわゆる「筆談」とも言うべき会話形式である。 筆談は、手の動く速度にしたがって文字を転送すればよいので、 ネットワークもコンピュータも比較的パワーを要しないのである。

しかし、一人コンピュータ端末に向かって筆談をする姿は傍から見ていると、 いかにも不自然である。 さらに、筆談では記号でしか伝わらず、しかも、JIS規格や、ASCII、 その他の工業規格で決められた記号しか伝わらない。 規格化の暴力にぎりぎりの抵抗をして「-:)」「(^_^);」という 涙ぐましい努力も可能ではある。 しかし、ごく自然な会話を追及すれば音声会話である。 コンピュータにログインし、バーチャルな博物館にアクセスし、 展示物を見ながらバーチャルな傍らの人と声で会話をする。 喜怒哀楽も伝わる。百見一聞に如かず。 デジタル・ミュージアムでは、 ネットワークもコンピュータパワーもふんだんに使い、 音声会話のテクノロジーを体験することが出来る。

デジタル・ミュージアムではバーチャルな博物館を実現する MUD に音声会話を試みるシステム、 VCS (Voice Chat System) を合体させた。 VCSはMUDのサーバとは独立したサーバで動作するが、 MUDのサーバからの司令にしたがって端末と音声のやり取りをする。 VCSには音声会話をするグループいくつもある。 同じグループに属している端末はお互いに会話が出来る。 異なるグループの端末とは会話は出来ない。 このグループを VCG (Voice Chat Group) と呼ぶ。 グループはMUDのサーバが用意する。 例えば、バーチャルな部屋ごとに別々のグループを用意したり、 展示品ごとにまた別々のグループを用意したりする。 ある端末が部屋を移れば、MUD サーバによってダイナミックに 端末の所属するグループを変更する。 あたかも、部屋を移れば前の部屋の騒音が遠ざかるかのように。

(森 洋久)


[編者注] この展示内容に関する最新情報や関連資料等は、随時、 東京大学総合研究博物館のインターネットサーバ上の以下のアドレスで 公開、提供していきます。

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