26 尊像頭部壁画断片
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塑壁着色
キジル石窟
7世紀
ル・コック将来品
縦13.0cm、横11.9cm
東洋文化研究所
キジル壁画中、真横向きの菩薩・天部像は数多いが、本図の表情が多少異様に見えるのは、顎の辺りを欠いているからであろうか。小像にしてはやや太めの赤茶色で白肌の面貌各部を描き出し、同じ筆で頬に梵字一字(dra)を記している。同じ字形のものが大和文華館展の図録13の天部像頭部(キジル小渓谷後第2洞、現176窟)の頬にも見られるが、一字のみでは特に意味を持たず、何を表すのかは不明であり、またこの梵字が記された例も管見の限りでは他にない。むしろこの梵字のあることで採集されたのであろうか。さらに不可解なのは頭部の格子模様とそこに散在する茶系色の飾りともつかない異様なもので、キジル壁画中から同一例を見出すことは全く出来なかった。