第1章 プロジェクト「建築復元」

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超高精細画像によるデジタル建築復元


 東京大学本部施設部に保存されている古建築の貴重な図面を超高精細デジタル画像として保存するにあたって、われわれは原図の微妙な色調を維持し、再現できるようにするため、通常の印刷に用いるものと同等の性能を持つRGB入力専用ドラム型スキャナーを用いて、1枚の図面を5000×4000ピクセル程度のサイズで入力することとした。

 この種の超高精細な画像データを表示する手段として、現在ではハイビジョンの約4倍の精細度を持つモニターが存在するが、今回の画像データはさらにその4倍以上のデータ・サイズとなった。そのため、そうしたモニターを使用してもハードズームや補間拡大なしに2倍以上の拡大表示が可能となった。これらのデータはCD-ROMやインターネットなどのマルチメディアへの対応が可能なことはもちろん、印刷物や4×5サイズのカラーフィルム等にも出力できる。また、こうした超高精細・高品質な画像データは文化財や美術品などの高品質なデジタル画像データベース化構想(「デジタル・アーカイヴ)にも十分に対応できるはずであり、将来劣化を免れ得ない紙上の情報を後世に残してゆく上での有効な手段となる。さらに、このようにして蓄積された貴重で膨大なデータは学内での研究用データベースにとどまらず、近い将来高速通信ネットワークによって世界中のあらゆる場所に発信できる可能性を持っている。ばかりか、美術館・博物館での研究用、遠隔地医療診断システム、各種監視システムなどへも応用が可能と考えられる。(高橋・西野)





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