錦画百事新聞 第八十四号
(巡査による売春摘発)
横長の画面を囲む青紫の枠と天使が掲げる赤い帯の上に書かれた題号が特徴。版元は綿喜の別会社である百事新聞局で、絵師は二代目長谷川貞信。大阪でもっとも多く号を重ねた新聞錦絵のシリーズで、百九十号まで確認されている。錦画百事新聞 第八十四号
女房盛りを白歯の嶋田僅かの代賃を/あてにして賎しき情の隠し売ハマアどふした心で/ござりませう親も夫も泥水へ引出む悪魔のわざか晴れて廓/の全盛でさへ苦界といふでハござりませんか大坂府下北平野/町壱丁目宿屋阪津はる御千/御年方にて見つけられました/淫売ハ/「天王寺村山本善之助娘ゑい十九年「富津丁二番町山下捨松/娘たね二十一年「空堀町宮内勇造娘こま十五年「日本橋筋/五丁目松田茂吉妻こよ二十年「南本町四丁目山田文吉妻なを/「日本橋五丁目平井国松妹千代十六年/「日本橋五丁目小川巳之助妻やす三十五年/「内本町三丁目浦谷百造娘ふね十九年/和歌山県紀伊国浅本町七辰右衛門/娘巽とみ二十五年/このおのおのハ穢を世間へふるう/御連中なるをお巡り梅木/さんが勉強て捕へられ/恥かしい事で罰を請うよりもちつと/外の稼もありそふな物でごさります縫ばりの/手一ひとつにて親夫への孝心貞操は是まで新/聞に手本もござります学校の/子供衆がたに読んで/おもらいなされ/ませ
図124
錦画百事新聞 第百八十六号(女首に驚く話)
国立国会図書館蔵
『錦画百事新聞』のシリーズは、途中百十四号から右半分が錦絵、左半分が活字印刷された記事という体裁になり、日刊化された。広告によれば、一枚八厘、一ヶ月十八銭で、希望者には個別配達も行われたという。図125