大日本国絵入新聞 第一号[朝野新聞第四百五十二号/四百五十号]
(上:母子殺害の農夫逮捕/下:女の腹に奇怪な腫れ物)
大判を上下二つの画面に分割した新聞錦絵のシリーズ。一番上にシリーズの題名と通し番号があり、上下各画面にはそれぞれの引用紙名と号数とが天使の持つ旗に記されて添えられている。版元は上州屋重蔵。この号は、上下とも『朝野新聞』の記事をもとにしたもので、絵師は梅堂国政。
大日本国絵入新聞 第一号
上段「朝野新聞第四百五十二号」
武州熊谷新座郡溝沼村/渡部佐右衛門が二男吉五郎/とゆふ農夫九年前同村/光四郎兵衛の妻はまと/密会の所を四郎兵衛に/見とがめられ両人とも坊頭になし/ければ吉五郎面目なく其所を立のきけり/其後恋情にひかされ古郷へ立かへり昔を/かたりはまを口説しに以前にかわりし/ていなるゆへ吉五郎いこんにおもひ/八月十五夜に/同村の/孝善寺で三才/の四郎兵衛倅と/はまをせつがい/なし逃去りしが/天網ついにのがれづ/九ヶ年の後武州豊島郡西臺村油屋某ニて/めしとられしとぞ
下段「朝野新聞第四百五十号」
日向国鹿谷/村にあやしき/病をハずらひし/つきといふ女あり元ハささやか/なる種物なりしが次第にい大きくなり口をひらき/舌の如き物を生ジ/毛ハさかだち実/におそろしきありさま也/是ケ為に幾度か婿をむかへども/閏ニ入バ驚き一人も居る者なし然ル所/同国新田村越山立斎と云える医者その/種物切薬をあたへけれハ全平癒せし/とぞ |