第三部
建築のアヴァンギャルド
東京帝国大学工科大学造船造兵学教室
明治40年10月竣工の東京帝国大学工科大学造船造兵学教室は、煉瓦造二階建に地下室付き。火災により焼失した隣接する二棟を一棟に纏める形で、東京帝国大学技師山口孝吉が設計。焼失を免れた一部を利用して、全体はゴシック様式を基調に設計されている。しかし、開口部などの細部は法科大学のヴィクトリアン・ゴシックの系統とは性格を異にしている。こうした特徴は辰野金吾設計の工科大学本館のデザインと相通じ工科大学のオリジナリティを建築物を具現しようという意図があったのかもしれない。