憧憬の大陸




一九〇二年三月、造家学科助教授伊東忠太が世界一周の建築調査に出かけた。

単独の、しかし三年以上もの年月をかけて中国から新大陸までを闊歩した壮大な世界旅行であった。克明な旅行記と画才あふれる野帳。残された膨大な記録からは、日本建築のルーツを探るという使命をもった明治男の海外体験が沸々と浮かんでくる。

東アジアから遙か遠い世界を、当時の研究者たちはどう眺めていたのだろうか。ここでは、戦後海外調査の代表的舞台となった中東、南米などでの先駆者の足跡も追う。




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