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[第一部 デジタルテクノロジー]

レプリカ


レプリカを作る過程は4つの過程からなる。まずオリジナルの立体データを取る立体スキャンが行われる。オリジナルの表面は細かい点の集合と仮定して、その点の座標を取っていく。点の取り方をどんどん細かくしていけばデータはよりオリジナルを表現していることになる。このような立体データを取る機械は色々な種類が考えられるが総合研究博物館にあるものは、オリジナルの表面に当てたレーザー光線の反射をとらえて反射位置の座標を測定する機械である。得られた座標の数はオリジナルの形にもよるが、1000点、1万点にのぼる。このデータはコンピュータのハードディスクの中に保存される。

立体スキャンで得られたデータは、しばしば不良部分がある。例えば複雑な形は影になる部分が生じ、レーザー光線が届かず、穴の開いたデータとなる。このような場合、色々な方向から立体スキャンを行い、データを得る。色々な方向からのデータを合成して1つのデータにしたり、光の反射の加減で発生したゴミデータを取り除いたりする補正の段階が次の過程である。この段階では、ハードディスクにためられたデータを、コンピュータ画面に表示して人間の目で確かめながら作業を進めていく。勘とノウハウの必要な過程である。

立体データから立体物を作り上げる装置を造形装置と呼ぶ。造形装置の仕組みには色々なものがある。例えば、コンピュータ制御されたドリルで自動的に木を削り立体を作る方法や、強いレーザー光線を当てると固まる光硬化性という性質を持った液体樹脂を使い、立体データにしたがってレーザー光線を発生させ樹脂を固める光造形装置がある。本展では、光造形装置を用いて立体データを作った。光造形装置は、中に空洞がある等の複雑な形を作ることが出来るので壷などのレプリカを作るのに有用である。

出来上がった立体はやや透明な樹脂の色をしている。従って、重さも色も実物とは異なる。実物の色や重さを実現するためには、重りを入れたり塗装をする。もし、触れたときに音が出るなどの工夫をするためには、タッチセンサーやマイクロチップが入れられる。これが終了してレプリカは完成する。 レプリカ制作にかかる時間は、立体データをスキャンするために数時間を要し、補正には1日くらいかかる。また、立体を造形装置で作るのに1日必要である。その後塗装などの処理に、数日程度かかる。

(森 洋久)

アドレス:/DM_CD/DM_TECH/REPLICA/HOME.HTM

3次元スキャナを使って壷の形をデジタルデータに変換オリジナルとレプリカ
3次元スキャナを使って壷の形をデジタルデータに変換する。
総合研究博物館情報メディア研究室
オリジナルとレプリカ
光造形装置の外観内部
光造形装置の外観(左)と内部
レーザ光によって硬化する樹脂を使ってデジタルデータを形にして行く機械(NTTデータ通信)


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