明治十四年小石川植物園日誌


小石川植物園日誌
1 小石川植物園日誌 明治14(1881)年1月より12月迄


 明治一四年は小石川植物園が誕生してから四年目のことである。当時は学期が九月から始まるので、学期では明治一三年度と一四年度にまたがる。

 明治一四年六月一五日に東京大学職制が定められ、総理、教授、助教授、講師、書記などの職制がおかれることになった。この制度により、七月一四日付で矢田部良吉と伊藤圭介は東京大学教授に任じられた。それまで伊藤圭介は員外教授であった。翌一五日に松村任三は東京大学御用掛を申付けられ、あわせて予備門教員との兼務を申付けられた。九月二九日には大久保三郎が同じく御用掛を申付けられ、理学部植物学教場助手兼小石川植物園植物取調方を兼務することも申付けられている。

 植物園職員は、担任として矢田部良吉、伊藤圭介、御用掛として松村任三(一四年七月一五日まで)、賀来飛霞、大久保三郎(九月二九日嘱)、松本駒次郎、事務掛として杉浦重剛(九月二〇日嘱)、加藤竹斎、画工として渡邊鍬太郎(一〇月一日雇)、園丁として内山富次郎他がいた。

 本日誌は日々の業務・出来事などを自由な形式で綴ったもので、大半は加藤竹斎が東京大学文理法学名の入った用箋にしている。竹斎が欠勤の折は賀来飛霞が記入している。他の年度の同様の日誌は一部植物園に残っている。明治一四年分をここに公表したのは、記述が充実しており、内容が変化に富んでいることによる。竹齋・飛霞の書体は比較的読み易いが、判読に迷うところも少なくなかった。解読に当たっては藤實久美子(学習院大学史料館)および滝沢糸子(総合研究博物館植物部門)の協力をいただいた。ここに記して感謝の意を著したい。    (大場秀章)

小石川植物園日誌本文
2 小石川植物園日誌本文
上は賀来飛霞、下は加藤竹斎による記述



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