直立二足歩行によって上肢が自由になり、道具の使用が促進されたのでしょうか?オロリンとカダバの発見により、500万から600万年前ごろまでに、すでに直立二足歩行が行われていたことがわかっています。一方、打製石器の使用という特異な行動は、250万年前ごろに初めてみられます。これらの石器は鋭い刃をもつもので、切る道具として機能したはずです。さて、チンパンジーは、打製石器は作れないものの、ナッツを割るために石のハンマーを使うことがよく知られています。そこで、打製石器が出現する250万年前以前の化石産地の調査でも、従来以上にハンマーとして使われた石の存在に目を光らせるようになりました。ですが、今のところ確認されていません。 そうしますと、直立二足歩行が出現してから、場合によっては400万年ちかい歳月がたって初めて、打製石器の使用という独特の道具使用行動に至ったことになります。石器以外の道具使用については想像するしかないのですが、ひとつの可能性として、250万年前ごろにブレイクスルーがあり、それ以後に道具使用行動が飛躍的に促進されていったのかもしれません。