前衛芸術としての新聞
アヴァンギャルド運動を支えた稀少紙
37. 隔週刊紙『ラチェルバ』
| ジョヴァンニ・パピーニ＋アルデンゴ・ソフィッチ創刊共同編集 第二年一六号、一九一四年八月一五日発行 フィレンツェ、ヴァレッキ印刷所 個人蔵 |
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Lacerba : Periodico quindicinale Giovanni Papini + Ardegno Soffici(Fondators) No.16, 2nd Year, 15 August 1914 Firecze, Typografia A. Vallecchi Private Collection 8pp., 370 x 272 |
一九一三年から一九一五年五月のイタリア参戦日までのあいだ、特別増刊号を含め全七十冊が発行されている。イタリア未来派を代表する定期刊行物とされる。文化の刷新を唱えるフィレンツェの文芸誌『ラ・ヴォーチェ（声）』を承け、作家ジョヴァンニ・パピーニと画家アルデンゴ・ソッフィッチの二人が創刊した。購読者はミラノ、トリノの労働者を中心とする。ちょうど大戦が勃発したこともあり、政治新聞ではあったが、批評的・理論的な論考の発表の舞台とされた。現に、未来派の基本的な宣言のなかで、本紙に発表されたものは十を数える。独創的なタイトルのデザインは編者の一人であったゾッフィッチによるもので、一九一四年一月に墨刷りで始められ、本紙から朱金に変わっている。
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38.不定期刊芸術革命ジャーナル『2000』
| ガリアン・ゲラルディーニ・ガウデンツィ編集 第一号、一九二九年二月七日発行 ローマ、アトラス出版 個人蔵（旧マリネッティ・コレクション） |
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2000 : Giornale della Revoluzione Artistica allian Ghelardini Gaudenzi(Editor) No.1, 7 February 1929 Roma, Edizioni Atlas Provenance : Marinetti Collection Private Collection 6pp., 600 x 400 |
ローマで実験演劇を率いたアルマンド・ゲラルディーニの総合出版社アトラスの機関紙。一九二九年一月に創刊され、不定期の発行が続いたのち、八月発行の第四号で終刊。読者はローマの青年知識人層が多く、Ｍ・カルリ、エミリオ・セッティメッリらの協力を仰いでいる。第一号には「ムッソリーニ万歳、すべてをなし、すべてをなし直せ」とのモットーが掲げられており、未来派への傾斜が顕著である。アフルレド・ガウダンツィによる戯画「マリネッティの肖像」が掲載されている。イタリア未来派の稀少文献のひとつとされる。
39.週刊イタリア芸術支配紙『フトゥリスモ（未来派）』
| ミーノ・ソメンツィ責任編集 第二年三〇号、一九三三年四月二日発行 ローマ、イタリア・アルテクラジア 個人蔵（旧マリネッティ・コレクション） |
| Futurismo : Settimanale dell'artecrazia italiana/ Architettura-Ambientazione-Arredamento e Materiali da construzione Mino Somenzi(Director) No.30, 2nd Year, 2 April 1933-XI Roma, Artecrazia italiana Provenance : Marinetti Collection Private Collection 6pp., 640 x 440 |
一九二二年一月一日にミラノの未来派運動指導部が創刊した隔週総合雑誌『ル・フュチュリスム/イル・フトゥリズモ』（仏語版と伊語版の二種）は、年間購読料六リラで公称五万部。国内外への郵送用宣伝メディアとして重要な意味を持った。一九三一年一月の第二二号で終刊し、その後継紙として一九三二年五月に装いも新たに月刊新聞として発行されたのが本紙である。編集主幹は先行紙と同じく建築家のミーノ・ソメンツィ。一〇月二日発行の第一〇巻第四号から毎週日曜日発行となった。版型は特段に大きい。墨の基本色に朱、緑、青、赤の二色刷りが多く、ときに三色刷りのものもある。用紙は厚手で、しかも腰が強い。そのため、壁新聞やポスターの代わりとされた。写真図版用の挟み込みにはアート紙が用いられている。こうした細かな配慮には、大衆向けの出版メディアにおいてさえ、独特の美学を貫こうとする未来派的感性が生きている。タイポグラフィーの点でも、この週刊紙の美しさは未来派定期刊行物のなかで群を抜いている。本紙の第一面にマリネッティの妻となった女流未来派ベネデッタ・カッパ・マリネッティ宛の郵送用シールがある。
