第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

 

 サケスズキ目 Percopsiformes [ 2亜目 3科 6属 9種 ]

 背鰭は 1基で、前部はふつう弱い棘条からなる。上顎は伸出不可能。脂鰭をもつ種ともたない種がある。北アメリカの淡水域にのみ生息する小型の魚類である。最古の化石は後期暁新世の地層から発見されている。

 

 サケスズキ亜目 Percopsoidei [1科 1属 2種 ]

 脂鰭がある。虹門は臀鰭の前にある。
サケスズキ科 Percopsidae 魚類はサケスズキ目では最も大きくなり、 体長 20cm までになる。流れの緩やかな河川に生息し、昼間は深みでじっとしており、夜間に浅みで活動する。

 

 カイゾクスズキ亜 Aphredoderoidei [ 2科 5属 7種 ]

 脂鰭はない。旺門は左右の鰓蓋の間にある。
  カイゾクスズキ科 Aphredoderidae(1種) は、眼がふつうであること、腹鰭が胸位であることで、メクラサケスズキ科 Ambloyopsidae (6種) と区別できる。
 メクラサケスズキ科の 6種のうち 5種は洞窟に生息しており、そのう ち 4種は盲目である。

 

 アシロ目 Ophidiiformes [ 2亜目 5科約 92属約 355種 ]

 腹鰭はふつう 1-2 本の軟条からなり、喉位か、もっと前にある。腹鰭を欠くものもいる。背鰭と臀鰭の基底は長く、尾鰭と連続している種が多い。フサイタチウオ科 Bythitidae の一部のものを除いて、すべて海産。なかには水深 8000m 以上の深海に生息するものもいる。最古の化石は前期始新世のものであるが、耳石は白亜紀後期の地層から発見されている。

 

 アシロ亜目 Ophidbidei [ 2科目属約 241種 ]

 多くの種で前鼻孔は上唇の上方にある。卵生で、雄は交尾器をもたない。尾鰭はふつうあって、背鰭・臀鰭と連続している。
  アシロ科 Ophidiidae( 約 209種 ) では、背鰭の軟条はふつう臀鰭の軟条と長さが等しいか、それより長い。虹門はふつう胸鰭の先端より後方にある。
  カクレウオ科 Carapidae(32種) の多くの種は、ナマコ、貝類、ヒトデ、ホヤなどの体内に隠れる習性をもつ。

 

 フサイタチウオ亜目 Bythibidei [ 3科約 39属約 114種 ]

 多くの種で前鼻孔は上唇の直上にある。胎生で、雄は交尾器をもっている。交尾器の形態は種の識別形質として有効である。尾鰭は 背鰭・臀鰭と連続するか、離れている。
  最犬の科であるフサイタチウオ科 ( 約 90種 ) は、サンゴ礁から深海 までと生息水深が幅広い。サンコ・礁に生息するものは小さく、数 cm にしかならない。日本周辺にも 94種ほど分布している。

 

 タラ目 Gadiformes [ 12科約 85属約 482種 ]( 図 21)

 一般に体は細長く、ふつう下顎の先端に鬚がある。上顎の縁辺は前上顎骨によって縁どられ、種によっては伸出可能。腹鰭はふつう胸位か、もっと前にある。腹鰭を欠く種もいる。各鰭に棘条はないが、ソコダラ科 Macrouridae などの多くの種では、背鰭の最前部の 1-2 本の軟条が硬く棘条 ( 擬棘 ) のようになっている。背鰭と臀鰭の基底はふつう長い。ほとんどの種が鰾をもつ。最古の化石は前期暁新世の地層から発見されている。
  一部の種を除いて海産。大部分は 200m より深い深海に生息している。 種数が多い科は、世界中の深海に生息する、ソコダラ科 ( 約 285 種 ) とチゴダラ科 Moridae( 約98種、まれに汽水域 ) である。また、 北極・大西洋・太平洋海域に分布するタラ科 Gadidae( 約 30 種、 14 重 のみユーラシアと北アメリカ北部の淡水域に生息) は多数の重要な漁業対象種を含んでいる。

 

 ガマアンコウ目 Batrachoidiformes [ 1科 19属 694種 ]

 口は大きく、上顎の縁辺は前上顎骨と主上顎骨によって縁どられる。 頭部は幅広くて縦扁している。眼は側面より背面に近い位置にある。 体にはふつう鱗がない。腹鰭は喉位で、 1 棘 2-3 軟条である。鰾をもっており、種によってはこれを使ってかなり大きい音を出す。この 仲間にはかなりの時間、なかには 24時間以上も水から出ても生きることができるものもいる。最古の化石は後期中新世のものである。
 ガマアンコウ科 Batraeholdidae のみからなる。中央・南アメリカに分布する種には、背鰭の 2本の棘条と 1本の鰓蓋の棘に毒をもつものもいる。大西洋・インド洋・太平洋の沿岸の海底に生息するが、まれに汽水域にも入る。淡水域に生息するものもいる。

 

 アンコウ目 Lophiiformes [ 3亜目 16科 65属約 297種 ]

 体は縦扁形か卵形。鰓孔は小さい。背鰭の第 1番目の棘条がある場合には、頭部背面に移動して、釣竿または糸と餌のような形に変化している。腹鰭がある場合には喉位。ほとんどの種が深海性。 最古の化石はイタリアの中期始新世の地層から発見されている。

 

 アンコウ亜目 Lophbidei [ 1科 4属 25種 ]

 背鰭の棘条のうち、頭部の後方にあるものは 1-3 本。
  アンコウ科 Lophiidae のみからなる。

 

 イザリウオ亜目 Antennarbidei [ 2科 15属約 47種 ]( 図 22)

 背鰭の棘条は 3本で、頭部にあってふつう互いに離れている。

 

 アカグツ亜目 Ogcocephalloidei [ 13科 46属約 225種 ]( 図 23)

 背鰭の 2番目の棘条は退化して、頭部の皮下に埋没している。種数が多い科は、アカグツ科 Ogcocephalidae(624種) とラクダアンニ ウ科 Oneirodidae( 約 60種 ) である。

 

 

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