第2部 展示解説 動物界
魚類の多様性

 

魚類の多様性

 図 2 は、ネルソン (Nelson,1994) やこれにおおむね従った ヘルフマン (Helfman et al.,1997) や上野(1998) をやや改変して作成した、現生魚類の目レベルでの系統関係を示 したものである。魚類全体の系統関係を鳥瞰するために、 化石でしか知られていない分類群 (絶滅群) であるコノドント綱、翼甲綱、板皮魚網および、棘魚網も含めてある。

 ここでは、これまでに明らかにされた魚類の多様性 [ 現生魚類約 25000 種 (Nelson,1994)] を、分類体系に 従って目および、亜目レベルで紹介する。分類体系は図 2の系統関係図におおむね基づいたもので、ネルソン (1994) を やや改変した上野 (1998) および上野・坂本 (1999) に従った ものになっている。

 それぞれの目および亜目の解説にあたっては、岩井 (1985) 、ネルソン (1994) および上野・坂本 (1999) を参考 にした。 [ ] 内の数は現生魚類についてのみ示している。

† :化石でしか知られていない分類群 ( 絶滅群 )

 脊索動物門 Chordata

 脊椎動物亜門 Vertebrata

 無顎上綱 Agnatha [2目]

 メクラウナギ綱 Mixini [1目]

 メクラウナギ目 Myxiniformes [1科 6属約 43種]( 図 3)

 尾鰭以外の鰭はなく、鱗もない。眼は皮下に埋没している。顎がない。 口辺に髭がある。外鰓孔は 1-16 対。体の下側に 1列ずつ多数の粘液孔があるので、ヌルヌルしている。長い歴史をもつ魚で、最古の化石は石炭紀後期の地層から発見されている。
 この目はメクラウナギ科 Myxinidae のみからなる。すべて海産で、世界の温帯海域に分布する。ふつう死魚の体内に潜入して肉や内蔵を摂食。
 日本周辺からは 4 種が知られている。

† コノドン卜綱 Cormdonta

† 翼甲綱 PIeraspidomorphi

 頭甲綱 Cephalaspidomorphi [1目]

 ヤツメウナギ目 Petromyzontiformes [1科属 41種]

 体に鱗はない。背鰭は 2基あるが、胸鰭や腹鰭はない。外観孔は 7対。顎はない。口は吸盤状。この吸盤を使ってほかの魚に吸着し、舌の上にある歯で肉を剥ぎ取って食べる。最古の化石は石炭紀前期 のものである。
 ヤツメウナギ科 Petromyzontidae のみからなる。幼生はアンモシーテス ammocoetes と呼ばれ、淡水域で変態して、成魚となる。 この仲間は産卵後すぐに死ぬ。世界の寒冷域に分布する。遡上回遊するものと淡水域で生活するものがいる。日本には 4種が分布している。

 顎口上綱 Gnathostomata[ 55目]

† 板皮魚網 Placodermi

 

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