往復書簡
マーク・ダイオン & 西野嘉章

 

2002年10月1日

西野先生 ブライアン・パーセルとわたしが東京大学総合博物館を訪れた際には格別のおもてなしをいただき ありがとうございました。 同じ精神の持ち主にお会いできたことは非常な喜びでした。 貴方とはわたしは博物館とその歴史を愛し、高く評価し、そしてまた万人がこうした気持ちを分かちもっていることに驚きの念を 抱いているという点で一致しています。しかし地球をより一層 おもしろい場所にしておくのに充分な数の博物館フリークはいます。 わたしは博物館が今後発展していくことを確信していますし、事物 (標本)を複合的な知識の伝達装置として有効に活用することは ますます人々の賛同を得ていくものと思います。もちろん彫刻家や キュレーター、デザイナーなどはしばらく前からこの点を理解していました。
マーク・ダイオン

ガルトウ(独)で蒐集した昆虫のフィールドスタディ


2002年10月4日

マークへ、
タニア・ポナクダール画廊のリズ・ジルクリストさんから、テート・テムズ発掘プロジェクトの図録が送られてきました。こ ちらで出版物を編集するさいの参考にさせて頂きます。

お会いできてよかったです。 お互いの考え方や行いによく似た点のあることがわかり、嬉しく思いました。「ミクロコスモ グラフィア」というのは、なんとも意味深長なタイトルですよね。ともに力を合わせ、この展覧会が開催できるというのは、ぼくにとってよい経験になるだろうし、また博物館の仲間 にとってもそうだと思います。

プロジェクトの参加者は、飯田さん、編集スタッフ、撮影隊 に、ぼくを含め、いまや二十人を超えようとしています。先日小石川のミーティングで打ち合わせた通り、みんなで10月 1 日からポラロイド・カメラを手に全学で展覧会用資材の調査を行っているところです。写真は七、八百枚になります。そ れらに簡単な記載をつけたものが、二、三週間のうちにそち らへ届くことになります。

このプロセス、みんな面白がっています。ぼくら学術ゴミ収集人は、あちこちでたくさんの素晴らしい廃棄物に出合い ます。 それらは厚く積もった埃によって、ク口ノス (時の翁 ) の破壊力から守られてきたものです。ぼくの見るところ、正真正銘の「掘り出し物」 ( オブジェ・卜ウルヴ工 ) もあります。埃まみれ のゴミ、ありませんか ! 良いゴミ、ないですか ! かくして、 ぼくらはゴミ収集と奮戦中です。

ではまた。さようなら。西野嘉章

HOME | 次へ


Copyright 2003 Mark Dion & The University of Tokyo