明治と大正の隔たった時代に造られた御真影額縁が、大きさから意匠まで同じ装いを保持しているのは、「天皇」が揺るぎない正統性を有する存在であることを示さんがためである。前の時代の形式をコピーすることに、その存在の意義の大半が集約されている。明治23年は「教育勅語」の公布された年であり、おそらくはそれを記念して、最良の材料と最高の職人業でもって誂えられたものと考えられる。昭和20年8月の敗戦とともに学内の人目に付かぬ場所にしまい込まれていたらしく、今回の一般公開は戦後初めてのことである。 27-1 抱中造御真影額縁 檜に漆、金銀蒔絵、正絹飾組紐、縦60.5、横50.8、1890年(明治23年)、東京大学総合研究博物館研究部蔵 裏に「明治二十三年三月三十一日新調、帝国大学書第一号」の銘 27-2 抱中造御真影額縁 檜に漆、金銀蒔絵、正絹飾組紐、縦60.5、横50.8、1890年(明治23年)、東京大学総合研究博物館研究部蔵 裏に「明治二十三年三月三十一日新調、帝国大学書第二号」の銘 27-3 木屋漆器店製御真影額縁 檜に漆、金蒔絵、正絹飾組紐、縦60.5、横50.8、1916年(大正5年)、東京大学総合研究博物館研究部蔵 裏に「大正五年十月三十一日新調、帝国大学庶第一号」の銘、東京大学総合研究博物館研究部蔵 27-4 内田九一撮影、天皇像 鶏卵紙台紙貼り、縦15.0、横9.9、明治5年(1872年) 27-5 内田九一撮影、皇后像 鶏卵紙台紙貼り、縦15.0、横9.9、明治5年(1872年) |
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