コロタイプ印刷技術
法隆寺金堂壁画
の実物大写真である、
法隆寺原寸大壁画分割継画はコロタイプ印刷という技術によって
制作されている。
コロタイプ印刷は、約150年前にフランスで生まれた印刷技術で、
美しいガラスの板を原版に使用することから、
日本では玻璃版ともよばれていた。
コロタイプ印刷
(写真提供:便利堂)
コロタイプ印刷の特長は、
- 連続階調によるなめらか且つ深い質感表現
- 平面状であれば多くの材質の上に印刷可能であること
- コロタイプインキという特殊なインキによる強い耐久性
等である。
これらの特性から、コロタイプ印刷技法は、
文化財の忠実な再現に利用されてきた。
一方、製版、印刷と大変手間のかかるという問題点ももつ。
また従来のコロタイプ印刷は、白黒画像の印刷のみが可能であり、
法隆寺原寸大壁画分割継画は白黒による印刷である。
現在では、多色刷によるカラーコロタイプ印刷が可能になっている。
[1]によれば、コロタイプ印刷は、
- 撮影
- 製版・用紙抄造
- 校正
- レタッチ
- 印刷
- 補彩
- 仕立て
といった工程を経る。
まず、撮影には、原寸撮影ができる大型カメラを使用し、
それを使うと最大で700×540ミリまでの撮影が可能である。
撮影は、色の3原色と墨の4色にわけて行う。
この撮影ネガがそのまま原版となって印刷に使用する。
多色刷りの場合、木版画やリソグラフの様に、必要な色の数だけ版を作る。
次にそれぞれの版をそれぞれの色のインキで印刷するが、各色版に分け、
調子を整える作業は、熟練した技術者が経験によってほとんど手作業で行う。
出来上がった版ではまず校正刷をして、原本と照合、不十分な点を補正し、
本番の印刷にかける。
複製される原本の素材はいろいろあり、
コロタイプ印刷よって複製を作成する際には、
印刷に用いる紙の素材も大切である。
刷り上がった印刷物は、模写を専門とする日本画家の手によって、
必要に応じて補彩を行っている。
【参考文献】
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[1] 便利堂、「複製の技−コロタイプ」、便利堂.
(越塚 登)
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